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 2011年10月、米グーグルと野村総合研究所が「国内のインターネット産業のGDPは20兆円となり、自動車産業を超えた」と発表して話題となった。インターネット産業というくくりでの初めての調査だった。

 実は1997年に建設業を超えて以来、情報通信産業は国内最大の産業なのである(2005年に総務省が作成した資料)。GDP成長に対する貢献も最も大きく、今やICTを抜きに経済成長は語れないのが実態だ。当然、東日本大震災からの復興政策にもICTは欠かせず、筆者も2011年5月にITproサイトに「ICTよ!今こそ国に貢献せよ!」を連載した。

 その頃、民主党と自民党は、おのおの大手企業からのヒアリングを開始し、「復興ICT政策」の策定を本格化させた。通常、翌年度概算要求は8月末に締め切られるのでそれに合わせて急いだのだ(実際には大震災の影響で、第3次補正は9月上旬、2012年度概算要求は9月末に締め切りとなったがこの時点では分かるはずもない)。

 (図1)の通り、復興ICT戦略の策定主体は、民主党では政策調査会の総務部門会議内にある情報通信WT(ワーキングチーム)。これは2010年4月に設立された民主党の情報通信議員連盟が異動した形となっている。座長はNTT出身の吉川沙織参院議員で、実質的な中心人物は事務局長で総務省出身の高井崇衆議院議員であり、両者とも一年生議員だ。私が総務省の幹部数人に聞いたところ、「高井議員は後輩であり現実には自分達が主導せざるを得ない」と話していた。総務省の官僚には仲間意識があるのだろう。

図1●与野党のICT政策検討体制
図1●与野党のICT政策検討体制

 自民党の復興ICT戦略の策定主体は政策調査会のIT戦略特別委員会。これはかつてのeJapan特命委員会からの流れだ。委員長は総務部会長(影の“内閣総務大臣”)も兼務する平井たくや衆議院議員(元国交副大臣)で、茂木政策調査会長(元IT担当大臣)もよく議論に参加していた。民主党とは比較にならない厚みを持った陣容だ。

 民主党は2011年7月20日の総務部門会議で復興ICT政策を提示したが、基本的には非公開として扱い、その後官僚が引き取って予算化の参考にした。非公開にした理由はたぶん、新IT戦略工程表改訂版が直後の8月3日にIT戦略本部(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)の持ち回り会議(編集部注:実際の会議でなく、書面やメールで決議される会議のこと)で決定される予定だったからだろう。それにしてもIT戦略本部会議は持ち回り会議となり、官僚の書いた原案を承認するだけだ。もはや民主党のICT戦略は完全な「官僚主導」と言えるだろう。

 自民党も7月20日には既に「デジタル・ニッポン2011絆バージョン」を策定して公開に向けた準備をしていたが、ちょうど菅政権末期のゴタゴタで正式発表は8月11日となった。こちらは大物が関与しているので公開のタイミングに慎重を期したのだろう。