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 「インフラ担当者からすると、これだけのトラフィックを生み出すスマートフォン(スマホ)は脅威でしかない」---。iPhoneをいち早く発売したため、他社よりも深刻なトラフィック問題に直面するソフトバンクモバイルの宮川潤一取締役専務執行役員兼CTOは、このように話す。ソフトバンクモバイルはiPhone発売以降、トラフィックが年々2倍以上のペースで増えているという。「昨年は基地局をかなり増やしたが、1年でその効果が無くなってしまう」と宮川CTOは嘆く。こうした状況は、遅かれ早かれ、スマホに舵を切った他の事業者も直面することだろう。

 スマートフォンがもたらす変化は、ビジネスモデルの変化でもある。従来型携帯電話(フィーチャーフォン)の時代はインフラの能力に合わせて携帯事業者主導で端末のスペックを決められた。しかしスマートフォンは端末ベンダー主導で、インフラの能力など考えられずに作られている。加えて競争激化によって各社はスマホの販売予測を頻繁に上方修正している。明らかに携帯各社によるコントロールが効かなくなっているわけだ。となると、トラフィックの予測はなおさら困難になる。

 このような状況下では、各社はあらゆる手段を使って目前のトラフィック対策を進めるほかない。無線LANオフロード(関連記事)や小セル化、周波数利用効率のよいLTE(Long Term Evolution)への移行といった複数の取り組みを急ピッチで進めているところだ。

新たな道路への誘導で混雑緩和

 トラフィックを運ぶメインの手段である周波数帯に着目すると、別の側面で各社の戦略が浮かびあがる。各社が保有するそれぞれの周波数帯へのトラフィックの分散だ。

 道路に例えるとイメージしやすい。2GHz帯の道路が混んできたので、1.5GHz帯という新しい道路(周波数帯)にクルマ(端末)を誘導する。いわばバイパスのような効果によって、全体の混雑を緩和する形だ。同時にLTEを導入すればその効果はさらに高くなる。既存のHSPA(High Speed Packet Access)と比べて周波数利用効率が3倍高いため、同じ5MHz幅の周波数帯を使っても、3倍広い“車線”の効果が得られるからだ。

 ただそれぞれの周波数帯へのトラフィックの分散を進めるには、(1)追加の周波数帯の確保、(2)グローバル端末がサポートする帯域の有無、(3)2.5GHz帯のBWA(Broadband Wireless Access)の活用、という三つのポイントがある(図1)。

図1●トラフィック分散のポイントは三つ
図1●トラフィック分散のポイントは三つ
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