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 伊藤忠商事は、IFRS(国際会計基準)をきっかけに固定資産管理システムを刷新した。2011年3月期から適用になった新基準「資産除去債務」への対応に加え、14年3月期の開始を予定しているIFRSの任意(早期)適用に備える。

バージョンアップ負担を軽減

図●伊藤忠商事が固定資産管理ソフトを選ぶ際に考慮した点
図●伊藤忠商事が固定資産管理ソフトを選ぶ際に考慮した点
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 新システムでは「制度変更に伴うバージョンアップの負担が軽くて済む」という条件でパッケージを選定した()。そうすることで「今後の保守費用を抑えられると判断した」と松井室長は話す。

 伊藤忠が採用したのは、ワークスアプリケーションズの固定資産パッケージソフト「COMPANY Assets Management」である。資産除去債務や減損損失の戻し入れといった制度対応のためのバージョンアップを、無償で実施する方針を採っている点を評価した。

 同社はパッケージを選択する際に、バージョンアップの負担に加えて二つの条件を考慮した。一つは、複数の会計基準に対応できる「複数台帳」の機能を備えていることである。

 IFRSを適用した場合、財務報告用のIFRSに基づく簿価の管理、税法などに関連する日本基準に基づく簿価の管理などが必要になる。複数台帳はこうした管理を効率化するための機能だ。償却率も会計基準ごとに異なる可能性が高いことから、手作業での管理は複雑になる。

 もう一つの条件は、グループ展開が容易なことだ。IFRS適用時には期中や期末など複数のタイミングで、グループ全体の固定資産の簿価を管理する必要がある。経理企画室の曽我邦尚氏は、「IT担当者がいない子会社もあるので、製品の使い勝手の良さを考慮した」と説明する。

IFRS対応計画は「変わらない」

 固定資産管理システムの再構築は2段階に分けて進めている。11年4月に日本基準に基づく処理ができるシステムを稼働。12年5月にはパッケージをバージョンアップして、IFRSに基づく処理も実行する計画だ。

 現状はグループ各社がそれぞれ固定資産を管理している。IFRSの任意適用を開始するタイミングをめどに、本社で統一的に管理できるようにしていきたいとする。

 伊藤忠は任意適用に向け、固定資産管理システムの再構築と並行して、会計システムとして利用しているSAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージや連結会計ソフトなどのIFRS対応も進めている。6月に金融庁がIFRS適用を見直す方向性を打ち出したが、同社のIFRS対応計画は「変わらない」(松井室長)という。「任意適用は経営層がすでに承認した方針。当初決めた適用時期に向けて、準備を進めている」と松井室長は強調する。