PR

 企業がこれまで考えもしなかったことや、これまで不可能だと思っていたことを実現できる、そんなIT(情報技術)が続々と登場している。背景にあるのは、「ビッグデータ」の台頭だ。ビッグデータとは、従来のコンピューティング技術では短時間で収集・解析するのが難しい、膨大な量のデータのこと。グーグルの検索サイトやTwitter、Facebookなどビッグデータを扱うサービスが普及し、それらを支える最先端のITが身近なものになってきたのだ。今回は、現実世界の変化をリアルタイムで把握できるようにするデータ処理技術「CEP(複合イベント処理)」に迫る。

 構造物の異常を常時監視したり、交通渋滞を事前に検知したりする――。現実世界の変化を表すリアルタイムデータの活用で、情報システムの可能性はぐっと広がる。

 リアルタイムデータの分析を可能にするのが、「CEP」や「ストリームデータ処理」と呼ばれるデータ処理を行うソフトだ。時系列に流れてくるデータを次々とコンピュータのメモリーに読み込み、あらかじめ定めた「ルール」と突き合わせる。「直近5分間で平均株価が××円下がり、株式Aの株価が○○円下がったら、株式Bを買う」といったルールで自動売買を行う、株のアルゴリズム取引での利用が有名だ。

 CEPは応用範囲が大きく広がりつつある。NTTデータは、橋梁モニタリングシステム「BRIMOS」で、2011年の春に実証実験を行った。BRIMOSは、橋梁に桁間隔や振動を測るセンサーを取り付け、そこから得られる情報を解析して、異常検知などに役立てる。

 NTTデータが実証実験でCEPを適用したのは、首都高速道路・三軒茶屋高架橋の監視だ。利用した製品は米サイベースの「Sybase Aleri Streaming Platform」である(図1)。

図1 CEP(複合イベント処理)技術を利用して橋梁の状態をリアルタイムに監視
図1 CEP(複合イベント処理)技術を利用して橋梁の状態をリアルタイムに監視
図は、NTTデータが2011年春に首都高速道路・三軒茶屋高架橋で行った実証実験の概要を示す。センサーから上がってくる毎秒3000件を超えるデータをリアルタイムに処理した。
[画像のクリックで拡大表示]

 「金融以外でも、CEPが適用できるかを探ることが目的。この分野に特有のルールをCEPで実装できるのか、実データで高速に処理できるのかを調べた」(NTTデータ 技術開発本部 IT活用推進センタの中川慶一郎部長)。

 結果は良好だった。利用したセンサーは51個(1Hz:26個、125Hz:25個)。それらから毎秒3000件を超えるデータが押し寄せたが、CEPで問題なく処理できた。

■外れ値や変化点をキャッチ

 日立製作所はCEPを使い、交通状況監視の実験を行った実績がある。車両位置(経度/緯度)の情報を集計し、交通情報をリアルタイムにモニタリング。各車両の速度を分析することで、渋滞や事故の発生を検知し、交通情報を通知する仕組みだ。

 利用した製品は「uCosminexus Stream Data Platform」(表1)。「1秒当たり2500件程度のデータを受け付けたが、ノートパソコンで十分に処理できた」(日立製作所 IT基盤ソフトウェア本部 大量データ処理ビジネス推進室の山口俊朗担当部長)という。

表1 時系列で発生するストリームデータを処理するCEP製品の例
表1 時系列で発生するストリームデータを処理するCEP製品の例
[画像のクリックで拡大表示]