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 防災デジタル・コミュニティラジオ連絡会は、「InterBEE 2011」(2011年11月16日~18日開催)において、「東日本大震災の教訓と新しい防災ラジオの登場~その時市民は何を求めたか?そして、V-Lowデジタル・コミュニティラジオへの期待~」と題し、シンポジウムを開催した。宮城県名取市の佐々木一十郎市長、名取臨時災害FM局統括の若生毅弘氏、いわき市民コミュニティ放送パーソナリティの坂本美知子氏、逗子・葉山コミュニティ放送代表取締役/CSRA(Community Simul Radio Alliance)代表でジャーナリストの木村太郎が参加した。後編では、防災ラジオのあり方、V-Lowデジタル・コミュニティ放送の方向性について報告する。

 前編での議論を経て、今回の災害における教訓として木村太郎氏は、「小さな放送局、地域の放送局が災害時にどのように対応すればよいかと考えた時に、アナログ放送停波後に空いた周波数を利用した新しいV-Lowデジタル・コミュニティ放送で解決できるのではないかと考えている」と説明した。

防災用にV-Lowデジタル・コミュニティ放送を利用する方向で検討

写真1 V-Lowデジタル・コミュニティ放送の1セグメントの活用例
写真1 V-Lowデジタル・コミュニティ放送の1セグメントの活用例
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 このV-Low帯は、90M~108MHzの18MHz幅を使って、県域放送(関東/近畿/中京は広域圏)という形で地域別の放送を展開することが想定されている。こうした中で、より狭いエリアを対象に、デジタル技術によるコミュニティ放送を実現できないか、と浮上してきたのがV-Lowデジタル・コミュニティ放送であり、CSRAでは防災用にV-Lowデジタル・コミュニティ放送を利用する方向で検討を行っているという。

 V-Lowマルチメディア放送の利点について木村太郎氏は、「デジタル化により提供可能となるデータ放送や、緊急警報放送による受信端末自動起動は防災に向いている」と説明する。V-Lowデジタル・コミュニティ放送には、「行政防災無線を補完するメディア」「何かあった時に情報交換を行うメディアであり、行政だけではなく市民も日ごろから使う地域に密着したメディア」「デジタル技術を駆使して目的を果たしていくメディア」と説明した。

 現在実施されているインターネット放送の活用も良いのではという意見に対して木村氏は「インターネット放送も大きな可能性は持っているが、防災という視点でみると向いていない。具体的には、インターネット放送では、ネットワークの状況により聞くことができない場合があることと、遅延時間が長いために津波警報や緊急地震警報の伝達は間に合わない」と現状を説明した。

 具体的なV-Lowデジタル・コミュニティ放送内容については、地震速報や津波注意報などの緊急警報を知らせてくれる「緊急警報放送」、音声以外に文字情報を表示するディスプレイを活用した「IPデータ放送サービス」、「行政との連携サービス」、防災面以外の「地域情報伝達ツール」をあげた。また、要求される帯域幅について、「1セグメントで十分だと思っている。1セグメントの帯域で、IPデータ放送、近隣のコミュニティ放送を放送できる音声放送チャンネルを2つ、防災などに利用できるAUX(予備)チャンネル1つを用意できる」と説明した。