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 トヨタ自動車で生産技術、調達などの改革に携わり、日野自動車に転じて再建を成し遂げた著者による初の伝記。入社時にはエンジンの設計を希望しながら生産技術部門に配属され、課長就任時には自らの部署をリストラすることを余儀なくされるなど、「挫折」を繰り返すなかで強靭な改革精神を育んできた。その経験を基に日野自動車で、企業文化や思想の壁を乗り越えて再生に取り組んだ経緯は読み応えがある。

 本著のもう1つの魅力は、著者の仕事にまつわる数多くの資料が掲載されていることだ。初めての海外出張でのメモや競合との工程比較表、「赤紙」と呼ぶ部下への指示書などの手書きの資料をなぞっていくと、若い技術者が仕事に丁寧に向き合いながら、管理職として、さらには経営トップとして成長していくプロセスを生き生きと感じ取ることができる。

 「やりたいこと」ができない環境で自分をどうモチベートしていくか。チームのリーダーとして、部下だけでなく上司や取引先をどう動かすのか。経営の一端を担う重責のなか、どんな成果を生み出すか。若手、中間管理職、幹部など組織のあらゆる層にいる人にとって学ぶ点が多い、必読の一冊。

改革者 挫折を超えて

改革者 挫折を超えて
蛇川 忠暉著
日経BP社発行
1890円(税込)