PR

 今回の投稿でブランク氏は、ベンチャーキャピタリスト(VC)のパートナーに必要な能力を通じて、企業経営の意義や難しさを述べている。スタートアップ企業の経営を体験した人は、雇用や解雇、給与の支払いや失注などの困難を通じて人間的に強くなり、断固とした決意を持つようになることから、VCに対してCEOになることを薦めている。(ITpro)

 自分たちの事業を、1回だけの成功で終わらせたくないと真剣に考えているベンチャーキャピタリスト(VC)は、彼らの下で働いている新人(アソシエート)たちにスタートアップ企業を創業させ、1年ぐらい経営させるのがよいかもしれません。実際に会社を経営することと、事業開発や販売、あるいはマーケティングといった企業運営に単に関わった経験との間には、明確な違いがあります。スタートアップ企業のCEOとして、銀行口座の急激な減少に直面したり、最も優秀なエンジニアが辞任したり、取締役会が「もっと急げ」と強要しているなかで夜10時まで働いてから夜行便に飛び乗り、顧客との「神に祈りながらの」契約締結をしたりするのと、「単に関わる」のとでは比較するまでもありません。

 今では50万ドルがあれば、Webやモバイル、クラウド関連のスタートアップ企業を創業したうえで、手元にある程度のキャッシュを残せます。アーリーステージのVCを志願するすべての人は、VCのパートナーになる前に、1年間ほどスタートアップを経営すべきです。以下でその理由を説明します。

VCパートナーに必要なのは「人を見抜く能力」

 VCが職業になって、まだ半世紀も経っていません。時間が経つとともに、VCは自社のパートナーたちに次のような種々の能力が必要だと気付きました。

 ―人を見抜く能力:創業者とそのチームに「成功するパターン」があるかどうかを判断する能力
 ―次に、人を見抜く能力
 ―さらに、人を見抜く能力
 ―市場/技術を判断する鋭敏さ:過去の成功のパターンを知り、その分野のエキスパートであること
 ―人脈/取引案件の開拓:取引案件を調達する能力/投資先事業にコネクションをつける能力
 ―取締役会での手腕:スタートアップに際してのコーチング(指導)、助言、戦略、事業運営管理/事業の成長
 ―資金調達能力

 これらの能力のうちいくつかは学校で学ぶものであり(例えば財務)、あるものは生まれつきの才能(例えば人を見抜く能力)であり、一部はパターン認識により習得したもの(例えば、経験のあるパートナーを見習う、自身が苦労して獲得した成功経験もしくは失敗体験)です。しかし、これらのいずれも、スタートアップ企業を運営した経験には代えられません。

 どうすればVCになれるのでしょうか。アーリーステージのVC企業は、自社のパートナーを様々な方法で強化します。その方法は以下のようなものです。

 ―他のVC企業からパートナーを採用する
 ―アソシエート(VC候補の新人)を採用し、長期的にキャリアの育成を図る
 ―VCやオペレーティング・パートナーを、新しい産業分野の担当に配置換えする
 ―スタートアップ企業の「企業経営の経験」があるエグゼクティブを採用する
 ―ごくまれなケースとして、スタートアップ企業の創業者/CEOを採用する

 VCの友人たちに尋ねたところ、彼らはいずれも確固たる、そして多様な意見を持っていることに驚きました。その回答は、以下のように様々なものでした。

 ―「私たちの企業カルチャーは非常に大切なものなので、絶対に他のVC企業からパートナーを雇わないでしょう。他のVC企業から引き抜いた人によって、他のVCを出し抜こうとすることは、私たちのカルチャーには全く合いません。ベンチャー・パートナーから始め、順次ジェネラル・パートナーになるのが最も自然な道でしょう」
 ―「弊社は、アソシエートをパートナーに導くプログラムを持っています。また、コンシューマ向けインターネット関連事業において、3年から7年程度の深い経験があるプロダクト・マネージャー、創業者、製品担当副社長らを見つけたいと思います」
 ―「我が社では、新しいパートナーを育て上げようと試みたことがありません。私たちは、他のVC企業でVCパートナーとしての能力を習得した人のなかから、私たちと一緒に取締役会に参加し、その能力を実証した人を雇いますので、“VCを育てる”というアイデアを全く持ち合わせていません。それは苦渋と苦痛を伴うプロセスですから、関わりたくありません」
 ―「もし彼らに企業経営の経験がなければ、当初の5年間、取締役会での議論を理解できる可能性は低いでしょう」