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 今回は、プロジェクトにおける意思決定を「何に基づいて」行うのかがテーマです。

 意思決定とは、何を優先するのかということであり、突き詰めれば「何を取り、何を捨てるか」を判断することです。しかしながら、プロジェクトには多くのステークホルダー(利害関係者)が様々な要望を突き付けてくるため、PMにとって難しい決断を迫られるケースが往々にしてあります。

 この時、プロジェクトとして「コレを捨てる!」という明確な決定を下すことができなければ、限られたリソース(要員や時間、予算など)の中でやがてジリ貧となり、メンバーに相当な負担を強いた挙句に、結局中途半端な成果しか得られないといった結果に陥ることになります。そして、そのような状況にハマっているプロジェクトは世の中に非常に多いと感じています。

何が判断を妨げているのか?

 このような問題を議論すると、良く「誰が判断に責任を持つのか、明確になっていないからだ!」という意見が出てきます。もちろん、これは重要なことです。プロジェクト活動においては、プロジェクトの母体となっている組織との関係性が複雑になりがちです。例えば、A部とB部という2つの部門からメンバーを集めたプロジェクトでは、両部の部長がPMの決定に口を挟み、判断を下せなくなるようなケースがあります。対応策としては、あらかじめPM、A部長、B部長それぞれが判断すべき事項を切り分けてルール化しておくことが考えられます。

 しかし、それだけでは十分ではないのです。いくら権限や責任の切り分けを行ったとしても、合議の上で決定しなければならない事項はどうしても出てきます。プロジェクトの根幹に関わる重要事項であればある程、誰かが1人で意思決定することは難しくなります。強引に独裁的な意思決定することは不可能ではないでしょうが、引き換えに一部のステークホルダーの満足度を損ねてしまうことになり、それではプロジェクトへの協力が得られなくなってしまいます。

 従って、例え合議であっても、全員が納得できる答えを導き出せる「共通の基準」があることが非常に重要になってくるのです。

 あなたがPMだとして、プロジェクトのスコープ拡大の是非をA部長、B部長と打合せ、意見を出してもらったとしましょう。A部長はYes、B部長はNo、どちらの主張もそれぞれに理解できるものがありますが、議論は平行線を辿ったとします。「A部長は頑固だし社内に影響力をもっているから、B部長には泣いてもらって後でフォローしておこう」とか、「今回はB部長の意見を採用しておき、そのかわり次の機会にはA部長の意見を尊重しよう」とか、そのような考え方で重要な決断を下すなんてナンセンスの極みですが、「共通の基準」がなければこのような状況にもなりかねないのです。