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 テキストマイニング市場は、未だ黎明期にあり、この領域のツールはピンキリ状態であるといってよい。多くのテキストマイニングツールが出回っているが、期待通りの成果が得られるツールばかりではないだろう。

実務に耐えるテキストマイニングとは?

 デファクト・スタンダードとなり得る、すなわち使い手が経営陣からの期待に応え続けていけるテキストマイニングツールの条件は何か。それは「『新しい課題の発見』を支援できること」「臨機応変な分析を支援できること」の2点であると筆者は考える。以下、順に説明しよう。

条件その1 「新しい課題の発見」を支援できること

 経営層が期待するのは、「業務改善の切り口」「品質向上の手掛かり」の発見である。しかも、多角的な観点に立って、毎月新しい発見をして報告してほしいという難題だ。

 ところがツールを利用する現場では、お仕着せのテンプレートで分類し、経営層から失望されるという失敗が後を絶たないようだ。テンプレートは定型報告には役立つが、そんな分析結果は3ヶ月で飽きられてしまう。

 以下は、あるメーカーで実際にあったことである。VOC担当者が月次のCS(顧客満足度)報告会でVOC(顧客の声)の定例報告をしたところ、社長からこう批判された。「いったい何を分析しているのか?単に件数をカウントしているだけではないか」。

 そこでVOC担当者は翌月に、ある新製品に対する顧客の声を深堀りし、苦情・要望の全体像と、予兆について報告した。改善コメントも付けた。そのポイントは、「新製品の止め金が小さく、高齢者には使いにくい」という指摘であった。

 すると分析業務への期待が一気に高まった。今度は製品担当部門が「どうしてこうした分析結果をもっと早く教えてくれなかったのか?この予兆が1カ月前に分かっていれば手を打てたのに」と声を上げた。

 このように、VOC分析は実務に直結する改善課題を指摘するものであるべきだ。

条件その2 臨機応変な分析を支援できること

 マイニングツールは分析精度とスピードとのバランスを自由に調節できるものであるべきだ。分析精度が高ければいいかといえば、一概にそうとも言えない。分析結果の価値(=ビジネスへ与える影響の大きさ)は様々なので、分析精度を追求しても、かえって評価を下げる結果にもなり得る。

 以下も実際にあったことである。ある生命保険会社のVOC担当者はコールセンタに寄せられていた、社長の前日のテレビ出演への反響を、午前中に速報版として少数意見も含めて報告した。このスピーディな対応でVOC担当者は経営層から絶賛された。

 一方、別な損害保険会社のVOC担当者は、分類精度を高めようと時間をかけた結果、担当役員から「何故、そんなことに貴重な時間を費やすのか?投資効果を事前検討すべきだろう」と詰問されてしまった。その担当者は分析システムを導入した直後だったこともあり、「直近3カ月の不払いへの苦情件数」をツールによって1267件といったん報告を済ませてからも、3日かけて目視で調べ1294件に修正報告したのだ。担当役員の叱責の趣旨は「精度の確保に時間をかけるより、見つかった課題の改善に時間を費やせ」というものであった。

 当社では、上記2つの機能要件を実現する鍵は「自動分類機能」にあると考えてきた。また、この機能を使いながら様々な試行錯誤を容易にする分析環境も実現した。例えば、前述の生命保険会社での事例は、「自動分類結果」から主要な話題を抽出し、かつ、「少数意見抽出結果」から特徴的な意見をピックアップするのに、分析所要時間は僅か30分程度だった。

 こうした分析プロセスを、筆者らは「分析者と分析システムのコラボレーション」と呼び、確立を目指してきた。分析者が大量文書の処理にIT(情報技術)ツールを必要とするのはもちろん、分析者の意図なしにITツールは価値ある分析結果を生み出せない。