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 2012年、日経コミュニケーションの最大のテーマは「Software Defined Network」(SDN)あるいは「ネットワーク仮想化」だろうと考えている。このネットワーク仮想化技術によって、クラウドコンピューティングは一歩も二歩も進化する。その進化の片鱗が2012年には見えてくるはずだ。

 SDNというのは、ソフトウエアだけでトポロジーや経路をコントロールできるネットワークの考え方である。目指しているのは、物理的なネットワーク機器の配置やトポロジーの制約を受けることなく論理的なネットワークを構成できるようにすること。例えばサーバーの負荷や障害状況に合わせて連携させるクラウドサービスを動的に変更したり、アプリケーションごとに経路を分けて、それを動的に切り替えたり、といったことを、一つの管理コンソールでの設定だけで実現できる。

 2011年秋には米スタンフォード大学で、SDNとその中核技術と目されている「OpenFlow」のイベントが開催された。またネットワーク機器ベンダーが次々にOpenFlowへの対応意向を表明してきた。OpenFlow自体はまだ開発途上の技術で、技術面では未成熟なうえ、実装製品もほとんどない。既存環境とのすみ分けもまだハッキリしない。

 ただし2012年には、プロトタイプの製品が充実してくると同時に、それを使った実証実験が盛んになる。また、OpenFlowを使ってネットワークを構築する通信事業者やデータセンター事業者が登場してくる。夏までには商用サービスにOpenFlowを使った例が見られるはずだ。そこからSDNの原型となるネットワークが見えてくる。

電話として見直される企業でのスマホ

 また2012年には、さらにスマートフォン/タブレットが浸透し、それとともに新しい使い方や課題が今まで以上に見えてくる。その一つとして、スマートフォンを使った内線電話の導入が加速すると予想している。従業員の利便性向上と、コミュニケーション手段の耐障害性向上のためである。

 スマートフォンにはIPが標準的に実装されているため、IP電話アプリケーションを搭載するだけでスマートフォンを携帯型IP電話機として使えるようになる。IPセントレックスやモバイルセントレックスなどと呼ばれていた仕組みを手軽に実現できる。

 IPセントレックスやモバイルセントレックスは、PBXの償却などに合わせて着実に導入件数が増えているものの、一時のような勢いはなくなっていた。ところが、スマートフォンの台頭で空気が変わりつつある。スマートフォンの導入に合わせてPBXをSIPサーバーに置き換え、内線電話に使う電話アプリをインストールすれば、スマートフォン導入と並行してIP電話導入を進められるからだ。しかも電話機はモバイル端末だから、どこに移動しても内線電話をかけられる。1台で携帯電話事業者の網を使った電話、IP電話、Skypeなどインターネット経由での電話、メール、ソーシャルメディアなどを使えるため、BCP(事業継続計画)の策にもなる。

 スマートフォン/タブレットに関しては、プライバシーあるいはセキュリティに関する課題がますます深刻になる。既にアプリの中にはスマートフォンに記録されている各種の情報を取得し、外部に送信するものが目立ち始めている。また、個人が所有するスマートフォン/タブレットを業務に使うBYOD(Bring Your Own Device)のニーズが高まり、セキュリティの確保が難しくなる。

 こうした課題を解決するためのソリューションは次第に充実していく。2012年にも、少しずつ進歩するはずだ。さらに重要なのは、安全に運用するための利用ポリシーを定め、それを周知徹底すること。こうした使い方の面での進歩が、2012年の大きなテーマになる。

 日経コミュニケーションでは、こうした先進技術、先進的なネットワークの活用法、そしてそのために必要なソリューションを、できるだけ現場感を持たせた形で伝えていこうと考えている。

スマホ、クラウド時代に最適な企業ネットワークのソリューションと業界動向を伝えるネットワーク情報誌。毎月1日発行