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 今朝、通勤に使うハイウェイで珍しく渋滞に遭遇した。原因は、車と鹿の接触事故。サンマテオ市にある当社近辺の道沿いでは、牛が草を食む姿を見かけ、標識にはマウンテンライオン(ピューマ)に注意という警告が目に入る。近郊の海にはラッコやアザラシが生息し、蟹や鮭の豊富な漁場でもある。

 このような豊かな自然に囲まれている半面、当社を含む半径15km圏内、いわゆるシリコンバレーには株式時価総額の上位企業がずらりと並ぶ。今夏、ついに世界1位になった米アップルをはじめ、オラクル、グーグル、インテル、シスコといったトップ50の常連企業や、非公開ながら推定時価でグーグルに次ぐといわれるフェイスブックの本社もある。

 シリコンバレーには資金だけでなく、世界中から才能が集まる。それがクラウドやスマートフォン、ソーシャルメディアといった革新的な技術やサービスが絶え間なく生まれる素地である。

 最近、当地でよく話題に上ったのが、スティーブ・ジョブズ氏の訃報だ。地元の人と話したり、報道を見聞きすると「世界を変えた」という言葉が異口同音に聞かれる。まさしく、「世界を変えるんだ」というシリコンバレー精神を具現化した英雄と評されている。

「白紙」から立ち上がるOpenFlow

 他によく話題になるテーマで、IT技術に関するものでは「OpenFlow」がある。ソフトウエアでネットワーク機能や構成を定義する「Software Defined Network」という概念を具体化する技術として期待を集めている。ハードとソフトが一体のメインフレームが滅び、汎用のパソコンとオープンソースソフトウエアの組み合わせに進展した経緯になぞらえて、「ネットワークでも同じことが起こる」と予測する専門家もいる。

 元々OpenFlowは、地元のスタンフォード大学の「Clean Slate」プロジェクトから生まれたものだ。プロジェクト名は“白紙”からインターネットを見直そうという意味が込められており、ここにも「世界を変えるんだ」という意気込みが感じられる。

 2011年10月には同大学でOpenFlow標準化団体が主催する初めての公開会議「Open Networking Summit」が行われた(関連記事:ネットワークの転換点を示した「Open Networking Summit」)。1カ月以上前から参加チケットが売り切れる盛況ぶりで、業界の注目の高さをうかがわせた。

 発表者やデモでは、大手ベンダーだけでなく、米ニシラネットワークスや米ビッグスイッチネットワークスといった大学の学生や先生が立ち上げたベンチャー企業が注目を集めていた。イベントの熱気から、「この中から次に世界を変える人や企業が生まれてくるのかもしれない」といった当地ならではのダイナミズムを感じた。

高橋 健司(たかはし けんじ)
NTTマルチメディアコミュニケーションズラボラトリー社長兼CEO。シリコンバレーにて、現地の大学やベンチャー企業と連携して、クラウド基盤技術やアジャイル開発技術に関するオープンイノベーションに取り組んでいる。最近では、現地社員らとMCL Jalapenosというサッカーチームを結成し、サッカーボールに遊んでもらっている。