PR

>>前回

 前回は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)市場の拡大を妨げる問題のうち「高価である」「走行距離が短い」「充電に時間がかかる」「充電できる場所が少ない」ことについて考察した。今回は、残りの厄介な問題について説明する。「電気代が高額である」ことと「電力供給の心配がある」ことである。

5. 電気代が高額である

 米国では、EVの1日の電力使用量は平均的家庭の1日の電力消費と大体同じであると言われている。日産自動車のリーフのバッテリー容量は24kWhで、Chevrolet/GMのVoltは16kWhである。充電する際にバッテリー内に20~30%の電力が残っているとすると、10kWhから20kWh程度の充電量が必要となる計算だ。本当に1日の家庭の消費電力とEVの消費電力は同等程度なのだろうか。検証してみた。

 筆者のようにスマートメーターが電気にもガスにも設置されている家庭では、どちらも消費量が1日遅れでWebサイト上で確認できる。図1はPG&E社の筆者の顧客情報にアクセスしたときの電気およびガスの情報のページだ。左側が電気使用情報、右がガス使用情報である。1カ月分の請求額や1日平均の使用量、1単位(電気はkWhでガスはtherm)当たりの値段などが示されている。KWhごとの電気代は全体の使用量に左右されるが、この図では13セントと示されている。

図1●電気とガスの情報のページ
図1●電気とガスの情報のページ
最初に顧客情報である住所や支払い期間とその間の請求額が示され、その下の左は電気メーターで、右にはガスの使用の情報が示されている。

 PG&E社は各家庭の消費情報の他、比較のため同様の家庭の消費量も示してくれる(図2)。これには、全体の家庭の平均と電力消費の効率化を図った家庭の二つの情報が含まれる。それによると、平均して1日の電力消費量は約16kWh(1カ月で約480kWh)、効率化を図った家庭では約10kWh(1カ月で約300kWh)程度だという。これは、PG&Eの管内である北カリフォルニアの平均なので、別の地域では平均値も異なるだろう。それでも、1日の家庭の消費電力とEVの消費電力は同等程度だということはできそうだ。

図2●同様の家庭の消費量
図2●同様の家庭の消費量
年間の筆者の月毎の電力使用量とPG&E管区内の平均と省電に努めた家庭の平均が示されているページから抜粋した。但し筆者の個人情報である電力使用量は除去してある。消費が多い方が平均の家庭で少ない方が省電に努めた家庭の平均である。30の倍数だときりが良いので、1箇月平均の電力使用量を前者を480kWhとして後者を300kWhとした。そうすると1日平均はそれぞれ16kWhと10kWhとなる。

 通常の消費者であれば、EVを1台持つと電力消費量が2倍になることになる。今後EVが市場に浸透し始めると、成人1人が自動車1台を所有するのが平均である米国では、4人家族であれば電気消費量は理屈上、5倍になる。電気使用量が増加すると電気代はどのようになるのだろうか。  通常の消費者であれば、EVを1台持つと電力消費量が2倍になることになる。今後EVが市場に浸透し始めると、成人1人が自動車1台を所有するのが平均である米国では、4人家族であれば電気消費量は理屈上、5倍になる。電気使用量が増加すると電気代はどのようになるのだろうか。

 米国の電力会社は、PG&E社を例にすると、日本同様まず基本料金があり、使用に応じた課金が加わる。課金の割合は日本のように一定ではなく、消費量が増加すると使用量を抑える目的で累進的に課金率が上昇する。これは、消費者にとってはあまり歓迎できることではない。今後一般の家庭で通常の電力使用とEV用の充電を分けて、異なったメーターを設置するなどの工夫が必要になるかしれない。