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 クラウドの進展、スマートフォンの普及、ソーシャルの台頭――。激変する情報化社会においてITリーダーが自らの価値を高めるには、ITの役割をゼロから発想し直す必要がある。そのための示唆に富んだ、米ガートナーのリサーチ部門総責任者Peter Sondergaard氏をはじめとするアナリストたちの講演を5回に分けてお届けする。これは、米オーランドで2011年10月16~20日に開催された「Gartner Symposium ITxpo 2011」のキーノートをまとめたものである。講演の動画は、ガートナーの日本語サイトから視聴できる。
 前回に説明したように、クラウドとモバイルに移行するということは、「シンプルなユーザー環境」、「差異化されていない機能のクラウドへのシフト」、「専門化する機能への理解」が不可欠である。これらを実現するためには、アプリケーションの全面的な変更が避けられないが、比較的少ない予算で新たに生み出すにはどうすればよいのか。米ガートナーバイスプレジデント兼最上級アナリストのTina Nunno氏が解説する。

 ゼロからの変革は、土地を焼いて肥沃な土壌に変える焼畑農業に例えられる。畑を焼くと、焼かれた植物は栄養分へと姿を変えて地面に吸収され、新たな成長の基盤となる。これがゼロからの変革だ。

 ITリーダーである皆さんは、ゼロからの変革を行うことができるだろうか。皆さんの会社のCEO(最高経営責任者)と取締役会は、IT部門のことをどのように評価しているだろうか。IT部門は、先見性があり信頼できると評価されているだろうか。革新的、ダイナミック、有能、といった言葉で評価されているだろうか。

 ほとんどのIT部門は、その時間、予算、マインドシェアの70%を信頼性の確保、すなわち現状を維持する活動に費やしている。その一方で、環境を根本から変革するITのニーズは、毎年高まっている。最適な機会を探して手にするための時間と人手と資金をどのようにすれば見つけることができるだろうか。

 我々は、ビジネス、製品、サービス、そして外部の顧客に対する価値の定義を変革し、従来の考え方を見直さなければならない。まずは、サービスに対する従来のコンセプトから改めていこう。

タイトル

御用聞きになるのを止めよう

 IT部門の多くは、質の高いサービスを社内に提供していると自負しているだろう。しかし、オフィスに戻ったら、サービスプロバイダーであるという考えは止めてほしい。なぜなら、サービスプロバイダーであることと、リーダーシップを発揮していることは異なるからだ。

 従来、我々はビジネスパートナーをビジネスの「需要」部分としてとらえ、その「要望」を満たそうとしてきた。これにより我々は、サービスプロバイダーに位置付けられる。しかし、もう、このような考えは捨て去る必要がある。

 皆さんがオフィスに戻ったら、「需要」と「要望」の御用聞きになることを止めて、こちらから提案するようにしよう。そして、受け取った要望を戦略的ディスカッションへと変えよう。我々の顧客となる非IT部門と協力し、その想像を超えるソリューションと成果を提供しよう。サービスプロバイダーではなく、優れたリーダーになるようにしよう。

 非IT部門は、自覚しているか否かにかかわらず、IT部門のリーダーシップを求めている。非IT部門は成果を得るために、ビジネス上のさまざまな問題を解決したり新たなチャンスを生かしたりする必要があり、常に革新的なITソリューションを求めている。同時に彼らはITに、低コスト、セキュリティ、信頼性を求めている。

 これは、需要と供給から成る従来のモデルでは解消できない問題だ。一面的な考え方をしていればなおさらである。この状況に対処するために、ガートナーは「ペース・レイヤリング戦略」と呼ぶコンセプトを打ち出している。