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写真4●北京市にある神州数碼控股の本社
写真4●北京市にある神州数碼控股の本社
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 北京市の北西部に位置する「中関村」。有名大学が集積し、多くのIT企業が集まる同エリアは「北京のシリコンバレー」と呼ばれる。この一角にあるのが、中国最大の総合IT企業、神州数碼控股(デジタル・チャイナ)の本社だ(写真4)。

 同社は2009年末、日本のシステム会社SJIの株式の約3割を取得して筆頭株主となり話題となった。SJIを窓口とし、日本の先進的なソリューションを中国市場に移管するのが主な狙いだった。

医療分野など幅広い分野で日系IT企業との提携を進める

写真5●神州数碼グループの主要システム会社、神州数碼信息服務の何文潮 副総裁
写真5●神州数碼グループの主要システム会社、神州数碼信息服務の何文潮 副総裁

 電撃的な資本提携から約2年たつが、具体的な成果はいまだに聞こえてこない。提携後の実態はどうなっているのか。グループの主要システム会社である神州数碼信息服務の何文潮 副総裁(写真5)を直撃すると、「SJIの人脈を駆使して多くの日系IT企業との交渉を進めている。日中のIT市場は異なるので、当初からすぐに結果が出るとは思っていない。想定通りのペースで協業の成果は出始めている」と強気のコメントが返ってきた。

 公式には認めていないものの、神州数碼は早ければ2011年度中にも医療分野のソリューションで日系IT企業と初の提携を実現する見通しだ。このほか、金融や通信向けのソリューションでも、日系IT企業と交渉を進めている。

 提携を急ぐ背景にあるのが、神州数碼の戦略転換だ。「これまではPCやプリンターなどハードウエア販売が事業の中心だった。しかし今後は、ソリューションの提供や個別システム開発に軸足を移す」と、何副総裁は強調する。中国のユーザー企業はハード調達だけでは満足せず、ソリューションまで求め始めているという。そこに日系IT企業と組む必要性が生じている。

 ただ、中国におけるビジネス環境の変化の速さとは対照的に、日系IT企業との交渉は思いのほか時間がかかっている。その理由について、神州数碼グループの関係者は「日系IT企業と当社では、意思決定のスピードが違いすぎる」と打ち明ける。

 これまで、日本の超大手IT企業とヘルスケア分野で提携交渉が進み、クレジットカードのシステム構築事業でも別のIT大手と提携の協議をしてきた。しかしいずれも、神州数碼の交渉スピードに日系IT企業がついていけず、結実しなかった。

 それでも神州数碼はあきらめずに、日本から中国へのソリューション移管を推進するつもりだ。

次の日系IT買収を検討する海輝軟件

写真6●中国・大連市にある海輝軟件の本社
写真6●中国・大連市にある海輝軟件の本社
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 米ナスダック市場に上場し、中国や日本、欧米などに拠点を持つ海輝軟件(国際)集団(写真6)。同社は日本のシステム会社である保険システム研究所を2010年7月に買収した。一部出資にとどまらず、中国のIT大手が日系IT企業を買収した初の事例とみられる。

 ITソリューションに付加価値をつけるために、海輝軟件は今後も日系IT企業の買収を積極的に進める。同社は保険会社と製造業向けのシステム開発やBPO受託に特化している。保険システム研究所の買収は、「保険分野のシステム開発で、より上流工程まで手掛けるノウハウの取得が狙いだ」(海輝軟件の日本法人、ハイソフトジャパンの小早川泰彦社長)。

 保険システム研究所の20人超の社員は全員、2011年にハイソフトジャパンに転籍した。「売上高全体に占める中国向け事業の比率は上昇傾向にある。日系IT企業を買収して得たノウハウはそこで生かせる」(海輝軟件の任宝旭 開発総監)。

 海輝軟件は製造業の組み込みソフト開発に強い日系IT企業を次の買収候補とする。「今も複数社と様々な交渉をしているところだ」(小早川社長)。