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 KDDIは、同社のスマートフォンと指定の固定通信サービスを一緒に利用するユーザー向けに、スマートフォンの月額利用料を1台当たり1480円割り引く「auスマートバリュー」の申し込み受付を2012年2月14日に開始する。これはスマートフォンやタブレットなど好みの端末で(マルチデバイス)、最適なネットワーク(マルチネットワーク)を介して、さまざまな使い方(マルチユース)をシームレスに実現することを目指すKDDIの「3M戦略」の一環として提供するサービスであり、固定通信と移動通信両方のアクセス回線を持つ同社ならではのFMCサービスとして注目を集めている。auスマートバリュー提供の狙いについて、同社コンシューマ事業企画本部 次世代ビジネス戦略部 3Mビジネス戦略グループリーダーの長谷川渡課長と、同戦略部料金制度グループリーダーの岡本輝幸課長に聞いた。

ID使いマルチ端末から利用できるサービス

 auスマートバリューでは、指定の固定回線とセットで利用することで、同じ住所に住む家族が利用するスマートフォンを1台につき月額1480円、最大2年間割り引く(最大10台まで)。さらに2年経過した後も、月額利用料を980円継続して割り引く。大胆な割引額に目が行きがちだが、単なる割引施策には終わらないという。「auスマートバリューは、コンテンツサービスのauスマートパスとの組み合わせで、FMCとしてのARPUを最大化する『auスマートパスポート戦略』の要素の一つ」と説明する。

 auスマートパスで提供するサービスは、アプリの取り放題やオンラインストレージサービス、クーポン/ポイントサービスなど、ネットワーク接続を前提としている。サービスの多くはKDDIのスマートフォン契約に紐付いたIDとパスワードを使って、タブレット端末やセットトップボックス(STB)でも、携帯電話番号と紐付けしたIDに基づいてサービスを利用できるようになる予定だ。回線は特に選ばないので、出張先の海外からなど他社のネットワーク経由でも利用できる。また具体的な提供は未定だが、仕組み上はネット接続対応のデジカメや音楽プレーヤーがauスマートパスのクラウドと連動するようなサービスも考えられるという。

固定回線の必要性を自発的に意識してもらう

 スマートフォンをサービス利用の起点として捉えて、タブレット端末やSTBといったサブ端末にも広がりを持たせることで、自宅には高速の固定回線があった方がいいとユーザーが自発的に意識する流れを作るのが狙いだ。その際に単にラインアップとして固定回線を取り揃えるだけでは、回線加入時の一時的な割り引きに目が行ってしまう。対抗策として、スマートフォンと組み合わせて回線を長期間利用する程お得になるサービスとして、auスマートバリューを用意したという。

 既にKDDIのスマートフォンとFTTHの両方を利用しているユーザー層については、auスマートバリューを導入することでKDDIにとって減収要因となる。この減収分は、auスマートバリュー導入による新規加入回線の獲得でカバーできるとKDDIでは考えている。「KDDIの携帯電話機利用世帯約1400万と、auスマートバリュー対象固定回線の利用世帯約910万のうち、重なっているのは約270万世帯。どちらか一方しか利用していない多数のユーザーを取り込むことで、増収を期待できる」と見ている。

 割引額が低いと回線の乗り換えまで繋がらなかったり、競合事業社が追随して単なる減収に終わる可能性があることから、シミュレーションを繰り返して「スマートフォン1回線当たり1480円の割り引き」という水準を設定したという。また、固定回線とのセット利用を積極的に促しスマートフォンのデータトラフィックを固定側に逃がすことで、携帯側のインフラ投資コストを圧縮し、総合的に利益を生み出す展開にも期待をかける。

 ユーザーに固定回線を乗り換えてもらうに当たり重要なのが、これまで利用していたサービスや端末を乗り換え後も利用できるかという点だ。「一過性だが工事はどうしても必要。電話番号はそのまま移行できる。サービスもほとんど同等のものが使えるが、テレビの再送信サービスは提供していない」といったハードルがある。なお、割り引きについては工事日程に関係なく、申し込みの翌月から適用するという。

 KDDIではauスマートバリューをきっかけにユーザーのボリュームを拡大して売り上げを伸ばす方針だが、割り引きがある分だけ加入者一人当たりの売上高であるARPUはどうしても低下する。この点については、事業動向を適切に判断する指標として「今後は世帯単位での売り上げで比較するなど、工夫が必要」と考えている。