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 元三菱自動車の乗用車開発本部デザイン部長だった三橋慎一氏によれば「Less is Moreとは、バウハウス時代に建築家のミース・ファン・デール・ローエが唱えた有名な言葉です。『少ないほど豊かだ』とか『無駄がないほどよい』という意味で、モダンデザインの機能主義を象徴する言葉として、今も生き続けています」とのこと。三菱の新「ミラージュ」のコンセプトもLess is More。今回の投稿は、 Less is Moreの実現は意外に難しく、スタートアップには柔軟性が求められるというエピソードです。(ITpro)

 私が提唱する「顧客開発モデル」における「最少機能セット」の目標は、出荷開始時の製品の機能を、初期顧客の必要最低限に抑えることです。しかし、最少の機能を見つけるのは、冒険になるかもしれません。

データはある、理解ができない

 私たちは「データ量は十分すぎるほどあるのに、その内容が理解できていない」という問題を解決する目的で、エピファニーを創業しました。1990年代に大手企業は、財務や顧客サポート、製造、セールスといった企業経営のプロセスを自動化するために、複数のアプリケーション・ソフトを購入しました。

 しかし、これらのアプリケーションが集めたデータには、各企業のIT部門が開発したレポート作成ツールによってアクセスされました。さらに重要なことは、各業務システムのデータは、他の業務システムから隔離された「バーチャル・サイロ」に格納されていたことでした。財務システムからは、セールスシステムとは直接データのやり取りができず、セールスシステムは製造システムの存在すら認識できませんでした。

 例えば、緑色のドレスと水色のドレスの販売数を比較するのと同時に、製造部門がそれぞれの在庫をどれだけ抱えていて、財務システムが各商品の地域ごとの粗利益がどれくらいあるか認識することは、非常に難しかったのです。なぜなら、互換性が全くない3種類のアプリケーションのデータを統合する必要があったからです。

 そのようなレポートを作成するには何日も、場合によっては何週間もかかったかもしれません。ある問い合わせが別の問い合わせをするとなると、次の答えが出るまでまた何日も、何週間もかかるかもしれません。欲しかったデータがもし手に入ったとしても、マーケティングの担当者がそのデータから、顧客のインサイト(購入動機)やトレンドを分析するには、さらに何週も、何カ月もかかるかもしれません。そして、その結果に基づき、実際に顧客の行動変化に対応したキャンペーン(例えば宣伝やメールなど)を実施するには、さらにまた何週間も何カ月もかかります。

 我々のエンジニアリング・チームが、こうした問題を解決するために最初に開発したのは、顧客の膨大なデータを検索する多次元型の表計算ソフト「オンライン分析処理」(OLAP)、顧客のデータパターンを検索する製品「データ・マイニング・ツール」、すべてのデータを集めて特定顧客向けの宣伝/メールを作成する製品「キャンペーン・マネージャー」の3製品です。これら3製品の基となっているのは、3製品の異なるデータを保管する自社のデータ・ウエアハウスと、データを抽出して変更し、SAPやPeopleSoft、Oracle Financialsなどの企業用アプリケーション・ソフトから顧客情報を取り出すETL(抽出・変換・書き出し)のような自社ツールでした。そして、当時の最先端の試みだったのは、これらの情報を、そのころの最新技術だったWebブラウザによっていつでもどこでも閲覧できることでした。