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 日本放送協会(NHK)会長の松本正之氏は2012年3月1日の会見で、放送設備と体制の強化に向けた取り組みの現状について報告した。「首都直下地震などで放送センターが被災した場合のバックアップ系統の構築や、東海・東南海・南海地震などの大規模地震に備えた整備を進める」という。2013年度までに主要な整備を完了させるべく準備を進めている。

図1 本部機能バックアップの概要
図1 本部機能バックアップの概要
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 詳細な内容は、理事の今井環氏が説明した。首都直下地震や長時間停電で渋谷の放送センターから放送が出せなくなった場合は、大阪放送局から放送衛星(BS)を使って全国に向けてニュースを送出する。「関東地方では東京タワーなどでBSを直接受信して地上波放送サービスを継続する。同様に、全国の放送局もBSを受信して放送を継続する」という。大阪局から送れないケースも想定し、福岡放送局からBSにニュースを送れるよう整備する(図1)。

図2 大阪局の設備強化イメージ
図2 大阪局の設備強化イメージ
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図3 首都圏周辺の取材・制作・伝送機能の強化
図3 首都圏周辺の取材・制作・伝送機能の強化
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図4 東海・東南海・南海地震など大規模災害への備え
図4 東海・東南海・南海地震など大規模災害への備え
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 大阪局の設備強化としては、全国のニュース原稿を一括管理する原稿ホストコンピュータシステムや、全国のロボットカメラの映像を一括管理するロボカメモニタリングシステム、緊急ニュース卓などを新設する。収録設備や編集設備、素材回線や報道情報端末の増設も行う(図2)。

 首都圏周辺で確実に取材・制作し、ニュースを大阪局に伝送するため、放送センター周辺の放送局などの取材・伝送機能と首都圏のヘリコプター中継機能を強化する。さいたま放送局を首都圏の取材・制作・伝送の中核拠点として整備を進める。このほかに都内のロボットカメラを増設する(図3)。東海・東南海・南海地震など大規模災害への備えとしては、海岸に比較的近い放送局は高所に取材・伝送拠点を設置し、太平洋沿岸を中心に津波を監視するロボットカメラを新設する(図4)。

 このほかに災害発生時には直ちに被災地へ向かい、現地でニュースの制作にあたる「緊急展開チーム」を設けて緊急報道体制を強化する。大災害発生時の放送の伝え方やラジオ放送の強化、データ放送やインターネットの有効な活用についても検討を進めている。「可能なものから順次運用していく」という(今井氏)。