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by Gartner
イヴォンヌ・ジェノベーゼ VP兼最上級アナリスト
デニス・ゴーハン マネージングVP
片山 治利 リサーチディレクター

 業務アプリケーションのユーザーであるビジネス部門と情報システム部門の間でギャップが広がっている。ビジネス部門のリーダーは、ビジネスの問題を解決し、市場の変化に即応でき、近代的で、使いやすいアプリケーションを求める。システム部門は、セキュリティを最大限に高めコストを削減するために、限られたアプリケーションの組み合わせのなかで標準化に取り組んでいる。これでは、両者の目標が相反することになる。

 ガートナーが提唱する「ペースレイヤリング」とは、業務アプリケーションをユーザーの使用状況と変更頻度(ペース)で分類し、異なるガバナンスのプロセスを確立する新しい方法論である。ガートナーはアプリケーションを分類するにあたり、三つの層(レイヤー)を定義した。

(1)記録システム
 中核的なトランザクション処理を担い、企業の重要なマスターデータを管理する。変更のペースは遅い。

(2)差別化システム
 企業固有のプロセスや業界固有の機能を実現するアプリケーション。ライフサイクルは1~3年程度だが、頻繁に変更・強化して変化に対応する必要がある。

(3)革新システム
 新たなビジネス要件や機会に対処するために特別に構築される新規アプリケーション。ライフサイクルは12カ月未満と短い。

 ペースレイヤリングを活用する秘訣の一つは、アプリケーションの粒度を細かく見ることだ。例えば単一のERPパッケージであっても、「財務会計」は高度に標準化されており、記録システムに該当する。「受注」には企業固有の特性があり、差別化システムとみなされることが多い。「協調型需要計画」は、企業がインターネットやスマートデバイス、ソーシャルネットワークで顧客とやりとりし、需要を判断または創出する新しいアプリケーションであり、革新システムの典型例だ。

 ペースレイヤリングにおいて重要なのは、ビジネス部門が説明するビジョンに対し、まずシステム部門が注意深く耳を傾けることだ。多くの場合、ビジョンは3種類のアイデアに分けられる。

■普通のアイデア
 リーダーが、あまり変化しない一般的な手法で良しと考える事業領域。「記録システム」に適応する。

■異なるアイデア
 リーダーが、競合他社と異なる手法を採りたいと考えているだけでなく、その実行方法の詳細を示すことができ、一定の頻度で更新が発生するような事業領域。「差別化システム」に適応する。

■新しいアイデア
 リーダーが概念の考察を始めて間もない段階であり、実行方法の詳細について明らかになっていないビジネス領域。「革新システム」に適応する。

 システム部門は、ビジネス部門との協力の下、変更のペースと特定のプロセスに関する不確実性を把握し、アプリケーション戦略に反映させることが重要だ。システム部門とビジネス部門との間で、敬意に基づく真のパートナーシップが求められる。