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 スマートフォンやタブレットのメーカーが2012年の今、かってないほど苛烈なスピード競争を繰り広げている。焦点は大きく二つある。一つは、PCに迫る処理能力を備えたクアッドコア(4コア)プロセッサの搭載。もう一つは、LTEに代表される超・高速無線通信サービスへの対応だ。

クアッドコア搭載端末が続々登場

 ユーザーが現在入手できるスマートフォン/タブレットの中で最速クラスと言えるのは、米NVIDIAによるクアッドコア対応SoC(システム・オン・チップ)の「Tegra 3」を搭載した端末。製品化の第1弾は、台湾ASUSが2012年1月に発売したAndroidタブレット「Eee Pad TF201」である(写真1)。これを皮切りにタブレットはもちろん、同プロセッサを採用したスマートフォンも今夏から登場する見込みだ。台湾HTCや韓国LGエレクトロニクスなどグローバルのメーカー、そして日本メーカーでは富士通が、Tegra 3搭載スマートフォンを準備している。

写真1●世界初のTegra 3搭載Androidタブレット「Eee Pad TF201」(台湾ASUS製)
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 NVIDIAによればTegra 3の性能は、2011年発売のタブレットに採用例が多いデュアルコアプロセッサ「Tegra 2」と比較して、最大5倍に達するという。また米Texas Instrumentsや米Qualcommといったライバルメーカーも、Tegra 3に負けない性能のクアッドコア製品を投入しつつある。しかもこの性能進化はまだ第1コーナーを回った段階で、今後はさらに加速する。例えばNVIDIAは2014年をめどに、相対的な処理性能をTegra 2の100倍にまで引き上げるプランを持つ。

データ通信も100Mクラスに、日本が高速化をリード

 こうしたプロセッサ性能の進化と歩調を合わせるかのように現在、モバイルデータ通信も最大速度が100メガクラスにまで高速化している。

 世界的に見て、モバイルデータ通信の高速化をリードしているのは日本の通信事業者だ。これまで日本ではNTTドコモの「Xi」やUQコミュニケーションズの「UQ WiMAX」が先行していたが、ソフトバンクモバイルが2012年2月24日にTD-LTE(AXGP)方式の「SoftBank 4G」を開始。次いで3月中に、イー・アクセス(ブランド名はイー・モバイル)もLTEサービス「EMOBILE LTE」を始める。残るKDDIも2012年末までにLTEサービスを開始する計画である。

 グローバル市場におけるLTEの普及を強力に後押しそうな製品も登場する。米Appleが2012年3月16日から発売する新型iPadに、LTE版がラインアップされているのだ。iPadシリーズは、「2011年10~12月の3カ月で1540万台を売り上げた」(Appleのティム・クックCEOが米国時間2012年3月7日の新型iPad発表会で発言)ほどのヒット商品。その最新機種をLTEに対応させことの意味は大きい。

 ちなみにAppleは新iPadの発表に際し、「Tegra 3と比較してグラフィック性能が最大4倍」と名指しで比較してみせた。新iPadの心臓部はデュアルコアCPUだがクアッドコアより速いとアピールしたわけだ。“コアの数は問題ではない”ということなのだろうが、この比較自体が、クアッドコアプロセッサの性能を軸にしたスピード競争が始まっていることを裏付けている。

 このようにスマートフォン/タブレットの処理能力や通信速度が急上昇することで、我々が利用するサービスにどのような革新をもたらすのか。バッテリー消費量など“死角”はないのか。通信インフラなどに与える影響はどうか。本特集ではこうしたことを検証していく。まず第1回から2回に渡り、世界初のクアッドコア搭載タブレットであるEee Pad TF201を取り上げる。実性能を調査するとともに、クアッドコア化により使い勝手にどのような変化があるのかもレビューする。