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パソコン市場のような激しい競争環境に

写真2●富士通がMWC2012で展示した、クアッドコアCPU「Tegra 3」を搭載しLTEに対応した試作機
写真2●富士通がMWC2012で展示した、クアッドコアCPU「Tegra 3」を搭載しLTEに対応した試作機(関連記事
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 フィーチャーフォン全盛の時代は、携帯電話事業者が描くロードマップ(製品のリリースサイクルや新機能を実装するタイミングなど)に基づいて開発していれば良かった。ところがこの1~2年で市場はがらりと変わった。世界中の端末メーカーがAndroidという共通プラットフォームを手にしたこともあり、我々メーカーはパソコン業界と同じような競争環境に突入しつつある。CPUやメモリー容量、ディスプレイのサイズや解像度といった基本スペックがどれか一つでも劣っていると、とたんにユーザーから手にとってもらえなくなる。我々にとって直接の顧客である携帯電話事業者も離れていく。どんなに魅力的な独自機能を搭載していたとしてもだ。特にハイエンド市場ではこの傾向が顕著になっている。

 だからこそハードもソフトも可能な限り最新スペックを追求し、スマートフォンの技術をリードできると対外的に示していくことが重要になる。現時点で言えば、世界のスマートフォンメーカーがCPUのクアッドコア化に動いている以上、我々は少しでも先行しようと必死に取り組む必要がある。そこまでやってようやく戦うためのスタートラインに立つことができる、というわけだ。

Android OSへの対応についても同じことが言える。

 海外メーカーがGoogleと密接に連携しており、OSの最新バージョンがリリースされた直後に対応製品を発売できるような体制を築いている。その他のメーカーがこのトップ集団を追いかけ、OSのリリースから3カ月遅れ、あるいは半年遅れで製品を出す、といった状況にある。残念ながら当社を含めた日本のメーカーも、最新OSに対応するタイミングでトップ集団に水をあけられているのが現状だ。

 これを1日でも縮めていくため、当社は2011年初め頃から製品企画や開発の体制を見直すなど様々な手を打ってきた。その集大成として2011年10月には、米国のGoogle本社からほど近いエリアに開発拠点を設けている。

端末の基本スペックに差が付かないのであれば、どう差異化を図っていくのか。

 スマートフォンの製品企画の現場には「3階建てのビルを作るように企画しなければならない」と言うようにしている。先ほど述べたようにCPUやメモリーなどの基本スペックはいわばビルの1階部分だ。ここが弱いままでは2階や3階の部分を作れない。

 1階をがっちりと構築した上で2階部分に積み上げるのは、ユニバーサル技術やセキュリティ、長時間動作といった要素になる。ここでの当社の武器は、専用LSIによる「ヒューマンセントリックエンジン」だ。端末の周辺環境に応じて画面の視認性を高めたり声を聞き取りやすくする、内蔵センサーを利用してユーザーの体の状態を把握しいろいろなサービスを提供する、といったことを実現する。昨年から採用機種をリリースしているが、今夏からは全機種に実装していく予定だ。そして残る3階部分に、デザインをはじめとしてその機種独自の特徴を盛り込んでいく。