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多くの方の学びのお手伝いをしている

 私の場合は、「人材育成」に携わりたくてこの職種を選びました。最初はITの講師をしていましたが、20年くらい前にヒューマンスキルの仕事に舵を大きく切りました。現在の勤務先に移ってからは、ヒューマンスキル分野の人材育成に専念しています。担当分野は少しずつ変わっていきましたが、人材育成という大きなくくりでは26年間、職務は同じです。

 20代の頃は、「いかに上手に講義をするか」や「研修に参加してくださった方々、どれだけ満足してもらえるか」が大きな関心事でした。「無事に終わりますように」「満足したと言っていただけるよう、うまく運営できますように」などと、自分の仕事ぶりが最も重要だったのです。

 もちろんこれらは今でも大切です。でも中堅、ベテランと歩んできて、もっと広い視野で自分の仕事を捉えるようになりました。「受講された方がより上手に仕事ができるように」とか「少しでも現場の問題解決が早く済みますように」などと、相手視点が育ってきました。いまでは「働いている大人が学ぶことで、よりよい職業生活を送れるようにするお手伝いをしているのだ」という思いを抱いています。

 仕事をするなら楽しいほうがいい。せっかく働くのであればハッピーな気持ちで取り組めるほうがいい。そのためには、必要な知識を得たり、スキルを高めたりして、成長し続けなければならない。一人で学ぶのは時間がかかることもある。誰かの手助けを受けたほうが、仕事に必要なことを効率よく効果的に学ぶことができる──。

 私は「人材育成」を生業とし、多くの方の学びのお手伝いをしているのだ、と大きく捉えられるようになりました。そういう気持ちが明確になったら、そのためにどんな勉強をすればよいのか、何をどう考え準備すべきか、どのようにお客さまと会話すればよいか、などもおのずと見えるようになってきました。これらは「いま大切なこと」をいつも選んで歩んできた結果だと考えています。

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 芦屋さんとの往復書簡は、20代や30代の「ちょっと行き詰まりを感じている世代」を応援する意図で、2011年にスタートしました。20代や30代というのは、5年、10年、あるいは15年と仕事をし続けてきた人たちです。連載の最後に、そんな人たちに対して「何を大切にして仕事をしていますか?」と問いかけたいと思います。

大切なことを言葉にしていますか? それを常に意識して仕事をしていますか? その大切なことを、部下やメンバーに伝えていますか? 一度だけではなく、何度でも伝え続けていますか?

 「大切なこと」を自分の心のど真ん中にきちんと据えていたら、いつだってその「大切なこと」を軸に考え、判断して行動でき、結果として仕事における困難も乗り越えられるように思います。

 皆さんの「大切なこと」は何ですか? 年度末が近付いています。そんなことを考えながら、最後の筆をおくことにします。

 1年間お付き合いいただき、ありがとうございました。困難な時代ではあるけれど、これからも精いっぱい楽しく、ハッピーな気分で仕事に取り組めますよう!

田中 淳子
田中 淳子(たなか じゅんこ)
グローバルナレッジネットワーク
人材教育コンサルタント 産業カウンセラー
1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、96年より現職。「ヒューマン・スキル」分野において「働く大人の学び」を支援して25年。これまでに『日経ITプロフェッショナル』『日経SYSTEMS』『日経コンピュータ』で「コミュニケーション」「若手育成」のテーマで連載。著書は『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)、『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(同)、『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)など。日経BP朝イチメールをまとめた初エッセイ集『コミュニケーションのびっくり箱~Junko-in-the-box~(iPhone用Android用)』は電子書籍として発行。硬い文章から気軽に読めるエッセイまで幅広く書いている。ブログ「ヒューマン・スキルの道具箱Neo」「田中淳子の“大人の学び”支援隊!」。Twitter:@TanakaLaJunko。Facebook:TanakaJunko