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 アジアで業務システムを導入し運用していこうとしている日本人IT担当者は、何を考えどう工夫して乗り越えたのか。昨日のファミリーマートとリコーに続き、今日は日本通運、ヤマト運輸、大和証券の例を紹介しよう。(文中敬称略)

日本通運●「数の多さ」が悩みの種

写真4●香港日通でITを担当する門脇悟マネジャー(左)と長谷川誠マネジャー
写真4●香港日通でITを担当する門脇悟マネジャー(左)と長谷川誠マネジャー

 「アジアではこんなに“多い”のか。日本では分からないことだらけだな」──。香港日通にIT部門から駐在し、ITインフラを担当するマネジャーの門脇悟と、アプリケーションを担当するマネジャーである長谷川誠(写真4)。担当分野も赴任時期も異なる二人だが、偶然にも香港に来て同じ思いを持った。二人を待っていたのは、アジアならではの「数の多さ」との格闘だ。

 インフラ担当の門脇が「多い」と驚いたのは、アジア地域に設置してあったメールサーバーの数だ。事業を段階的に拡大した経緯があり、エリア内にたくさんの国があることが要因だった。改めて点検すると、日本や北米に比べ3倍の数のメールサーバーがアジアには存在していた。

アジアのサーバーを香港のDCに集約

 日通は、欧州や北米、アジアというエリアごとに基幹業務用のサーバーを集約してきた。アジアでも複数の国に分散していた基幹システムを、2011年に香港のデータセンターへ集約。保守や運用コストを下げた。次は情報系の集約に着手し、機器数を減らし運用効率化を図る。そこで目に付いたのが、数多くのメールサーバーだったのだ。

 門脇は香港で、アジア全域のメールサーバー数を半分に集約するプロジェクトを立ち上げた。「ネットワーク構成の変更やサーバーの再配置も考えながら1~2年かけて進める」という。

 一方、アプリ担当の長谷川が「多い」と感じたのは、倉庫管理アプリ関連の顧客対応業務の数だ。アジア地域には多くの顧客が生産拠点を設けている。工場があれば、必要になるのが倉庫。工場や倉庫での物流業務を請け負うため、顧客となった企業の配送システムなどと、日通の倉庫管理システムを連携させる作業が発生する。このために長谷川は、フィリピンなど顧客企業の工場や倉庫へ香港から頻繁に出張する。

 世界中の企業が、生産コストが安いアジア地域へ工場を移転しており、工場に近い倉庫や市場へモノを最適なタイミングと量で運ぶ需要は大きく伸びている。事業拡大に合わせ、システム対応の業務はさらに増えると見込まれる。

 長谷川が苦労したのは、部品メーカーやアパレルなど「顧客の業種ごとに倉庫管理システムでやり取りするデータの種類や方式が異なる」ことへの対応だ。今は個別に日通側のアプリを改変しているが、効率化を検討中。例えば、「顧客の業種ごとに対応範囲のひな型を作り、個別対応をできるだけ少なくできないか」。長谷川は中期的な戦略を練り始めた。

 両者が今後の課題として挙げるのは、「現地化の推進」だ。香港に駐在したのは二人とも初めて。当初は日本と異なる業務環境や仕事のやり方に慣れるまで苦労し、現地のITスタッフに頼ることが多かった。そのため、彼らの能力底上げがアジアでのIT戦略の遂行に欠かせないと考える。現地ITスタッフが日本人IT担当者並みに業務ができるように、ノウハウの移管やマネジメントの強化を図る計画だ。