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 この連載では、Facebookを中心とした「ソーシャルメディア」を企業でどのように導入するかをテーマとし、企業での導入時や、導入検討時の「担当者、管理者、経営者の反応」をリアルに再現することを特徴としている。

 前回は「ソーシャルメディアの効果測定」について「効果が数字で見える」ようにすべきと説明した。なぜなら、数字を使って客観的に評価しないと、ソーシャルメディアの活用が有効なのか、そうでないのかが判断できないからである。

 この事例として「コスト効果をシビアに見る経理部長の話」を紹介した。これを使ったのは、筆者がこのように考える経理担当者が多いことを知っているからである。「このような人が導入に反対する状況でどのように対応すればよいのか」――。これが前回の骨子だ。

 前回の記事にはさまざまな意見をいただいた。「効果を金額で見なければ導入可否はできない。経理部長は正しい」という意見も多くあったが、「コスト効果でばっさり切るのではなく、投資対効果を考えじっくりと顧客とのエンゲージメントを評価することがソーシャルメディアの本質ではないか」という意見も頂いた。非常に嬉しいことである。

 頂いた意見の通り、ソーシャルメディアは「短期的なコスト効果の観点だけで見るものではない」と考えている。ソーシャルメディアは手段であり、リアルを映す鏡である。だから活用する目的は無限大であると言える。目的にあった効果を見ればよいだけだ。

 リアルの目的が「コスト効果」を判断するものなら、手段としてのソーシャルメディアのコストもシビアに見るべきである。そういう意図で前回の記事は書かせていただいた。あくまで、ひとつの事例として理解いただければと考えている。

 ソーシャルメディアを「顧客との関係を作るブランド価値向上の手段」として使うのも、「短期的なマーケティング戦術の手段」として使うのも自由である。しかし、効果を見て判断するなら、それぞれの目的に即し効果をできるだけ定量的に表現しなければならない。筆者の主張はそこにあることを理解いただきたい。

 では、今回のテーマに移りたい。ソーシャルメディアの「炎上」の話だ。これは特に経営者や管理職層に読んでほしい重要なテーマである。なぜなら、会社の経営に大きな影響を与えるインパクトを持つからである。

ソーシャルメディアを「導入しなければ安全」は誤解

 「炎上」に関しては、担当者任せにせず、経営トップが正しい知識を持つべきだ。どうしたら、「炎上するのか」「延焼はどう広がるのか」「鎮火とは何か」「鎮火をするには、何が必要か」などである。これが分からないと会社のブランド価値を下げる恐れがある。

 しかし、多くの企業では、まだまだ「炎上対策を間違って理解している」ことが多い。ソーシャルメディアを「導入しなければ安全」「使わなければリスクはない」と誤解している。これは大きな間違いだ。

 ソーシャルメディアを企業で導入しようとすると、必ず「炎上が怖いから、他社の動向を見てからでよいのではないか」「炎上するとブランドが傷つくからソーシャルメディアなんかやらない方が安心なんだ」という声が出てくる。

 この結果、ソーシャルメディアに背を向けてしまい、「正しい運用体制の構築」「どう運用するかのルール検討」「それをどう徹底させるかの社員教育」がなされないことも多い。これは非常に危険な状態である。

 ソーシャルメディアの炎上リスクは企業の「公式アカウント」のみで起こるとは限らない。「顧客の怒りのツイート」や「社員の個人的書き込み」から大炎上になり、最後は「マスメディアにまで延焼する」ケースを認識しなければならない。

 ソーシャルメディアに背を向けた企業は、この事態に対して鎮火させる術を持たず、「ただ、炎上の前に立ちつくす」だけである。皮肉なことに、「ソーシャルメディアの炎上が怖い」と背を向ければ向けるほど「燃え広がるリスク」が高まるのだ。

 では、早速事例を使って説明しよう。なお、この事例は今から数年前の出来事として読んで欲しい。