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 ドイツというと「厳格」なイメージが強いだろう。厳格さの半面、融通が利かないところもあり、筆者は自宅のインターネット開通に5カ月かかった。その一部始終を紹介する。

 ドイツではケーブルテレビ事業者がテレビ、電話、インターネットを組み合わせた「トリプルメディア」を提供している。私のアパートはサービス区域内だったので、デュッセルドルフ転任早々にこのサービスを申し込んだ。

 程なくしてアパートの現地調査となったが、そこからが長かった。調査日に約束の時間よりも遅れてやってきた工事業者は「受信設備の場所が分からない」と言い、管理人とともにアパート中を探し始めた。やっと発見したと思えば、今度は受信設備を収めたキャビネットの鍵が見つからない。ドイツ人は妙に鍵好きなところがあり、各所に錠を設置している。管理人はたくさんある鍵の区別がつかなくなってしまったようだった。

 数日後に鍵が見つかり、やっと現地調査を開始できた。ところが、受信設備から私の部屋までの信号ロスが多いため、アパート内のケーブルの張り替えが必要と判明した。大家と相談して張り替えることになったが、数日後、ケーブルが壁の中に固定されていて張り替え不能なことが判明した。ここまででおよそ1カ月半を費した。

滞在期間と契約期間の差に注意

 筆者はケーブルテレビをあきらめ、通信事業者のインターネット接続サービスを申し込んだ。

 ところが今度はモデムを持ってきた配達人が「本人確認のため運転免許証かパスポートが必要」として、モデムを渡してくれない。パスポートを見せたが「滞在許可期間が1年間になっている。サービスの契約期間は2年間なのでモデムは渡せない」との回答だった。

 免許証なら滞在許可期間の問題がないとのことで、若干疑問を感じながらも免許の書き換え手続きを開始。その後1カ月弱かかって、ドイツの免許証を手に入れた。再び通信事業者へ申し込んだところでクリスマス休暇に突入した。この時点で引っ越しから既に3カ月半が経過していた。

 その後無事モデムが届いたが、今度は設定がうまくいかない。ドイツ人の部下にサービスセンターとやり取りしてもらったところ、なんとモデムが壊れていた。そこでモデムを再送してもらい、ついに我が家のインターネットが開通した。

 苦労して開通したインターネットだが、1年でお役御免となった。フランクフルトに新しいデータセンター「TELEHOUSE FRANKFURT」を開設するため、引っ越すことになったからだ。次はどんなチャレンジが待ち構えていることか、今から楽しみで仕方がない。

中桐 功一朗(なかぎり こういちろう)
KDDIドイツ社長。ドイツ、オランダ、ベルギーおよび東欧諸国を担当。日本国内法人事業に携わること20年以上、営業、企画、サービス開発と様々な業務を担当し、5年ほど前からグローバル分野へ転身した。2010年にロンドンからデュッセルドルフへ転任。ドイツ語と戦うこと1年余り、本誌が発行されるころにはフランクフルトでまた何かと戦っている予定。