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 今回は、近未来のエンジニアのライフスタイルを取り上げます。「iPhone Walking Robot(http://www.youtube.com/watch?v=eg2Q6T0rwvE)」を知っていますか(写真1)。iPhone画面に目玉を表示し、iPhoneアプリでサーボを制御して歩かせる、といった“ロボット”です。部品は秋葉原で売られているような汎用品でまかなっています。

写真1●iPhoneが歩く「iPhone Walking Robot」
写真1●iPhoneが歩く「iPhone Walking Robot」

 このプロダクトを開発したのがシリコンバレー在住の寺崎和久さん(写真2)。昼間はIT系企業で働き、仕事が終わったあとは“発明家”として活動しています。このプロダクトでは、玩具メーカーへの研究素材として採用されたことなどにより数十万円の収入があったそうです。これが、“最低限の生活を保障するための収入源+プロアマとしてのプロダクト作成”という「21世紀型のライフスタイル」です。

写真2●開発者の寺崎和久さん
写真2●開発者の寺崎和久さん

 作っているのはあくまでプロダクトであり、「何かしらの対価を産み出すモノ」で、従来の趣味とは一線を画しています。発明家としての活動を継続させるためには、プロダクトを換金できることが重要です。いまどきのプロダクトにはハードウエアとの連携が必要で、ある程度の開発資金が捻出できなければ、継続できません。また、家族の協力も必要です。

 このようなライフスタイルを送る上で重要となるポイントは、3つあると寺崎さんは述べます。

 最初のポイントは、コンセプトが明確なプロダクトを作成すること。例えば、「ガンダムを作りたい!」という考えは、コンセプトとはいえません。コンセプトとは、自分のプロダクトの特徴を決定付け、かつ成果への道しるべとなるモノです。

 コンセプトが曖昧なのは、何を作るのか自分でも分かっていないということなのです。そのため、意味のないチューニングや最新のフレームワークの利用などにとらわれてしまい、いつまでたっても完成しないプロダクトとなります。

 2つ目にポイントは、マーケティングを知っていること。「良いものは、何もしなくても普及する」とし、自分のブログで公開するだけで終わりにしてしまうエンジニアもいます。残念ですが、相手が勝手に見つけてくれる確率はほとんどありません。

 寺崎さんの場合、テクニカル系のニュースサイトで取り上げられるとYouTubeのデモ動画は1万回の再生に、総合ニュースサイトで取り上げられれば10万回の再生になったそうです。そして、10万回まで行くと、新規プロダクトをサーチしている担当者の目に触れるレベルとなります。

 そこで、ちゃんとしたマーケティング戦略を立て、YouTubeに公開し、説明資料などを作り、各メディアへアプローチするくらいは最低限の作業となります。これこそが21世紀だから可能になったポイントです。従来、自ら企業の門を叩くしかなかったわけですが、コネでもなければ当然門前払いです。

 3つ目のポイントは、権利関係をしっかりしておくこと。ここをおろそかにするエンジニアが非常に多いと、寺崎さんは嘆いています。例えば、自分のプロダクトを会社支給のPCや会社内で開発しているのは問題があります。なぜなら、プロダクトの権利が会社にも発生するからです。プロダクトを売却するときには会社に許可を取る必要があり、場合によっては利益を配分しなければなりません。特に、大企業の場合はイレギュラーな対応を嫌う傾向にありますので、売却自体がNGとなる可能性が高いわけです。こうした横やりを阻止するためにも、「個人と会社の線引きを常にハッキリ明確にしておくことが重要」と寺崎さんは説きます。そして、自分に不利になる証拠が残る可能性があることは一切しない、という心掛けも必要です。

レポーター:今村のりつな
SIProp.org 代表/OESF CTO
PC系から新時代に移行するためのエコシステムを台湾の政府系研究機関で開発中。