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 急成長する中国IT市場を開拓するため、国内大手IT企業が中国IT企業と提携する動きが活発化している。2011年11月から12月にかけて、NECや日立製作所、リコーが中国IT企業との業務提携を発表した()。NECと日立にとっては、2011年にITサービス分野で2件目となる中国IT企業との提携である。

表●2011年11月~ 12月に相次いだ主な日中IT企業の業務提携
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 NECが協業するのは、広東省を地盤とする広東華智科技だ。同社の従業員数は約420人。中堅企業だが、日本向けのオフショア開発受託などの実績を持つ。提携内容は、自動車業界向けソリューションの開発・提供だ。

 広東省には、ホンダや独フォルクスワーゲンなど世界各国の自動車大手が生産拠点を構えている。各社を獲得するために、日中共同で生産管理や部品管理などのソリューションを開発・販売する予定だ。さらに2012年度中には、自動車メーカーや部品メーカー向けのクラウドサービスを、共同で展開する計画もある。

 日立が提携したのは、北京大学が出資している北大方正集団と、そのグループ企業である方正国際軟件だ。両社を合わせると、従業員は3万人を超える。日立の情報システム事業の柱であるクラウドコンピューティングとスマートシティにおけるプラットフォーム事業で提携した。

 クラウド分野では、日立がサーバーなどのシステム基盤を提供し、北大方正集団らがアプリケーションを開発する。まずは電子カルテや医療用画像管理といったヘルスケア分野のクラウドサービスを2012年中に開始する計画だ。スマートシティ分野では、2012年3月末までに都市交通向けなどでモデルプロジェクトを選定し、日中共同で推進する。

 日立は2011年度、情報システム事業だけで約550億円の売り上げを中国市場で見込んでいる。北大方正集団らとの提携をテコに、2015年度には1000億円規模に引き上げることを目論む。

 リコーが手を組んだのは、従業員数が数万人規模の中国最大手のIT企業、神州数碼控股(デジタル・チャイナ)である。リコーのプロジェクターをデジタル・チャイナの販路を通じて中国で販売する。将来はビデオ会議システムなどの商材も、同社を通じて中国で売る計画だ。

 中国市場の足がかりとするべく、各社は着々と中国のパートナー企業を獲得している。だが、「中国企業に本気で協業させるには、資本提携が不可欠」(業界関係者)との指摘もある。

 NECと日立は今回の提携発表で、「合弁会社の設立も検討する」と明言しているが、時期や規模などは示していない。成長スピードが速い中国市場を開拓するためにも、資本提携に踏み込むかどうかの早期決断が、国内IT企業に求められている。