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 この連載の目的は、スマートグリッドにおけるデータや情報の流れを、米国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)が作成している概念的なモデルを基にして、要素ごとに解説することである(関連記事)。このモデルは電力に関する情報の流れを示したもので、第1版が2010年1月に発行された。それから2年後の2012年2月に第2版が発行された。第2版と第1版とではモデルそのものにはそれほど大きな違いは認められないが、いくつかの変更が加えられている。改定版を図1に示す。

図1●NISTのスマートグリッドのモデルの第2版に示されているスマートグリッド内の電力に関する情報の流れ
第1版と大きな違いはないが、分散型エネルギー源(Distributed Energy Resources)が配電網(Distribution)とカスタマー(Customer)をまたぐように追加されている。
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 第1版との違いの一つは、図2に示すようにカスタマーの中に位置していた電力蓄電装置(Electric Storage)、電気自動車(EV:Electoric Vehcle)、分散型発電(Disributed Generation)を、送配電網の電力蓄電装置や分散型発電とともに、分散型エネルギー(Distributed Energy Resources)という新たなに設けた分類に加えたことである。

図2●送配電要素
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 この連載では、カスタマーから始まり、時計と反対回りで各要素を解説してきた。今回は最後の送配電(Transmission/Distribution)について解説する。

 電力系統の物理的な電力の流れは「発電」「送電」「配電」「消費」に大きく分けることができる。物理的な電力の流れの中で、発電とともに重要なのは、電力の搬送である。電力搬送は、送電網と配電網とその中継地点である変電所で構成される。電力は発電された後、電力搬送時のロスを最小限にするために最寄の変電所で高圧に昇圧され、長距離の送電網によって運ばれる。消費地に近いところに達すると、変電所を通過して電圧を低下させ、配電網を通じて消費者に届けられる(関連記事)。

 送電網は、最近話題になっている送発電分離の論議のように、電力系統網の中で重要な位置を占める。いくら発電してもその電力を搬送する手段がなければ意味がないからである。搬送の手段として送配電網が存在するのだが、送電網は高電圧を扱うため設備が複雑かつ高価となり、特殊なインフラと技術を要する。また長距離をつなぐため、送電網の建設とその保守には大きな資本が必要である。

 図2で、送電網(Transmission)と記されている部分から解説しよう。送電網として囲まれている部分は、実際には変電所と考えた方が正しい。この図はデータおよび情報の流れを示すものなので、物理的な送電網は描かれていない。強いて言うなら、変電所のデバイス(Substation Device)が発電機(Generators)につながっている線がそれに当たるが、この図の中ではこの線は二つのコンポーネント間のデータ/情報の交換を示している。実際は何百~何千キロにわたる距離を中継地点も含めて展開しているわけだが、モデルではこのように簡単に表記される。