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 前回の記事で、ソーシャルメディアを活用するプロジェクトが、なぜ本格的な実践に至らず、他の部門やマネジメント層に理解されないのか、という点について触れた。その中で改めて考え直したいこととして「他部門やマネジメント層がソーシャルメディアについて理解してくれない」のではなく「自分たちが他部門やマネジメント層に対して、“ソーシャルメディアのあるビジネス”をわかりやすい文脈で伝えきれていない」という意識をきちんと持つことが重要だと述べた。

 では、どうすれば“ソーシャルメディアのあるビジネス”をきちんと伝えることができるのか、ということを今回は考えてみよう。

「ソーシャルメディアで何ができるのか」が重要

 まず、そもそもソーシャルメディアを自分たちのビジネスにきちんと活用し、かつ何らかの形で結果を出している企業は、ソーシャルメディアを活用することに対して本気で活路を見出そうとしている企業である。これは国内外を問わず大きな傾向だ。言われてみれば非常に当たり前のことだが、ソーシャルメディアを活用する施策が本格的な実践に至らないケースの多くは、この点を踏み外してしまっている。

 本格的な実践に至らないケースで、「ビジネスにおいてソーシャルメディアを活用することは非常に重要」と思っているのは、その組織の中では担当者本人だけという状況になってしまっていることが多い。こうした状況に対して「周囲の部門やマネジメント層がソーシャルメディアのことをよく知らない」と、単純に決めつけてしまうのは早計だ。5年前であればまだしも、これだけ情報や文献、そして事例などが出てきている現在ならば、多少なりともソーシャルメディアのことについては知っていると考えてよいだろう。

 むしろソーシャルメディアについては、(多少ではあるものの)知っていたとしても、それを「自分たちのビジネス」にどのように活用できるのかがイメージできない場合が多い。「具体的にもたらされるアウトプット」といった結果については、さらに見えてこない。「なかなか理解されない」と言われてしまう理由は、そこにある。社内担当者による内部調整、そして外部のエージェンシーなどによる提案、いずれの場合においても、「ソーシャルメディアとは何か」という部分だけが充実していて、肝心の「何ができるのか」あるいは「どういう結果がもたらされるのか」といった点が非常に抽象的なもので終わってしまっているのが現実だろう。

 実際、「何ができるのか」そして「どういう結果がもたらされるのか」といった部分に関しては、(概念図的なものではなく、Webサイトでいうならばモックアップに近い状態まで)相当細かくビジュアル的にイメージできるようなものである方がいいだろう。その上で「今までのやり方と何が異なるのか」さらに、異なるだけではなく「どの程度パフォーマンスを上げられるのか」という部分までをきちんと説明できるようにしておかなくてはならない。

具体的にイメージできるレベルまで組み立てる

 本格的な実践に至らないケースの多くは、この「ビジュアル的にイメージできるような状態を作る」という点と「今までと何が異なって、どの程度よくなるのか」といった点の両方において、その作り込みが不十分になっていることも少なくない。特に後者の「今までと何が異なって、どの程度よくなるのか」という部分を説明する部分にあたり「(よく言われている)ソーシャルメディアのよいところ」だけを語っているだけにとどまっているケースがよく見かけられる。しかし、それだけでは「理解を得る」というところにまでつなげていくのは難しいだろう。

 これらをきちんと説明し、理解を得るために、まず少なくとも[ビジネス上のゴールの確認]→[現状の認識]→[ゴールと現実のギャップの把握と認識]という順番で確認および認識をしていくことは必須になる。その上でかつ、そこにソーシャルメディアがソリューションとして活用できるような仮説が成立する場合において、次のように考えていくことが求められるだろう。

 [ツールとしてのソーシャルメディアの特性についてpros/cons(良いところ/悪いところ)双方の洗い出し]→[想定される戦略の大まかな策定と具体的戦術についてイメージの構築]→[実践からパフォーマンス分析までにあたって想定されるオペレーション]といった内容をわかりやすく、かつロジカルに組んだ上で、きちんとイメージできるような形で見せることは非常に難しい。だが、ここまでやっていかないことには、なかなか「理解を得る」ところまで持っていけない。社内担当者による内部調整、そして外部のエージェンシーなどによる提案いずれの場合でも、なかなかこういった部分にまで細かく作りこんでいくのは難しいが、ぜひクリアしていきたいところだ。

熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)
リーバイ・ストラウス ジャパン デジタルマーケティングマネージャー
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)1974年生まれ。プロミュージシャンからエンジニア、プロダクトマネージャー、オンライン媒体編集長などを経て、マイクロソフトに入社。企業サイト運営とソーシャルメディアマーケティング戦略をリードする。その後PR代理店バーソン・マーステラでリードデジタルストラテジストを務め、2011年12月よりリーバイ・ストラウス ジャパンにてデジタルマーケティングマネージャーとなる。