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上場企業の約半数は、既に海外進出している。今後、この比率が高まるのは確実だ。ビジネスがグローバル化すれば、それを支える情報システムもグローバル化する必要がある。今回は、企業システムをグローバルに展開するために必要な人材、推進体制について探る。

 国内市場は縮小均衡に陥りつつある。企業が成長し続けるためには、グローバル化は避けて通れない。システムを多言語対応するだけでなく、迅速にグローバルに展開し、現地の商慣習や文化に合うように素早く機能を追加・修正できる体制も不可欠だ。

 そこで今回は、日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査2012」のデータを基に、企業システムをグローバル化するための課題と今後の方向性を探る。

 まず、ビジネスにおけるグローバル化の実態を知っておこう。本調査の対象は、東証一部上場企業とそれに準じる企業である。このクラスの企業は、約半数(51.3%)が「既に海外進出している」。「今後、海外進出を予定している」は5.8%である(図1)。

図1●ビジネスのグローバル化の状況
図1●ビジネスのグローバル化の状況
約半数が既に海外に進出している。製造業の進出率が高い

 海外への進出状況は、業種によって大きな差がある。既に海外進出している割合が高いのは、「機械器具製造」(73.2%)や「素材製造」(65.2%)だ。一方、「金融」(24.6%)や「サービス」(32.9%)は、海外に進出している割合が小さい。

 では、海外に進出している、または進出予定の企業は、どのように企業システムのグローバル化を進めているのか。以下、人材面と組織面から調査結果を見ていこう。

システム部員をグローバル人材に

 海外拠点でのシステム導入・活用を推進する人材は、どのように確保しているのか。グローバルIT人材を「海外事業拠点(海外本社、海外主要事業所、現地法人など)において現地外国人スタッフをマネジメントする人材」と定義し、人材の育成・採用方法の現状と将来像を図2に示す。

図2●グローバルIT人材の育成・採用方法(複数回答)
図2●グローバルIT人材の育成・採用方法(複数回答)
グローバルIT人材を「海外の事業拠点において現地外国人スタッフをマネジメントする人材」と定義した

 この結果からは、二つの傾向が見えてくる。一つは人材を”育成する”のではなく、現地の外国人を中途採用する企業の比率が高いことだ。現在は32.1%、今後も32.6%の企業が、グローバルIT人材として外国人を中途採用すると回答した。

 現在、海外に進出している企業では、システム部門の7.0%、システム子会社の17.3%で外国人システム部員が在籍している(図3)。グローバル化に伴い、今後、この比率は高まっていくだろう。

図3●海外に進出している企業の外国人システム部員の在籍状況
図3●海外に進出している企業の外国人システム部員の在籍状況
グローバル企業であっても、外国人のシステム部員が在籍している企業は少ない

 もう一つの傾向が、グローバルIT人材の輩出元が、業務部門からIT部門にシフトすることだ。「業務部門の人材にITの知識を持たせる」ことでグローバルIT人材を育成する企業は、現在は3社に1社(33.1%)だ。これが今後は、25.5%に減少する。これに代わるのが、「システム部門の人材をグローバル人材に育成する」だ。現在は23.6%だが、今後の計画では37.5%に増える。

 海外拠点で利用するシステムが大規模化・複雑化していることや、グローバルでIT戦略やシステムの標準化を推進するには、ITに詳しい人材が不可欠だ。そのため、システム部員をグローバルIT人材として育成しようとしていると考えられる。