PR

 オーストラリアと言えば、世界6位の広大な国土にグレートバリアリーフやエアーズロックなど世界でも有数の壮大な自然、コアラやカンガルーなど個性的な生態系のイメージが強いかもしれない。

 オーストラリアは1901年独立。英国国王を元首とする連邦制の立憲君主国で六つの州と二つの特別地域からなる。母国語は英語で、文化は英国や欧米の影響が強い。大自然に恵まれたゆったりとした住環境のためか、オーストラリア人はあくせくしたところがない。昼間からビールやワインを飲みながら街中のオープンカフェで商談することも多い。

 経済は資源ブームに支えられて堅調に推移している。石炭・鉄鉱石をはじめとする天然資源に恵まれた世界でも有数の資源国で農業や牧畜業も盛ん。一方、広い国土に少ない人口、主要都市間の距離が遠いなど物流面がネックなこともあって製造業はあまり発展しておらず、金融や保険、不動産などサービス産業の比率が高い。豪ドルが米ドルより高くなって久しく、世界の投資家が豪ドルへの投資を強めてきた。2008年のリーマンショック後の世界的な金融不況の影響は受けたが、資源産業を中心とした底堅い経済環境に支えられ、先進国の中では影響が軽度で回復も早かった。

インフラ整備に430億豪ドル投資

 オーストラリアは新技術・新サービスへの順応性が高く、無線ブロードバンドやクラウドサービスへの関心も高い。企業のIT投資も積極的で、当社も日系企業だけでなく現地企業へのサービス展開に力を入れている。1997年に現地法人(NTTオーストラリア)を設立し、2011年5月には現地でSI事業を展開するフロントライン・システムズ・オーストラリアを買収した。

 通信環境は総じて良くない。固定通信はテルストラとオプタスの2強による寡占状態が長く続き、移動通信も上記2社にボーダフォンを加えた3強で競争が進んでいない。経済協力開発機構(OECD)の調査(2009年6月)によると、ブロードバンドの世帯普及率は先進国30カ国の中で17位。料金は同3番目に高いという。

 政府はこの状況を打破すべく、2009年4月に最大約430億豪ドルを投資し、約8年かけて加入者宅まで光ファイバーを敷設する「国家ブロードバンド網整備計画」を打ち出した。全世帯の90%以上を光ファイバーで、残りは無線ブロードバンドで全国の通信インフラを一気に整備する構想だ。同計画の推進に当たって新会社も設立。既存の通信事業者は平等にアクセス網の供給を受け、サービスによる差異化で競争する。多額の税金投入で世界的に注目され、近いうちにその真価を問われることになりそうだ。

橋本 吉正(はしもと よしまさ)
NTTコミュニケーションズの豪州現地法人であるNTTオーストラリア社長。1988年入社。1997年に米国留学から帰国後は一貫して国際事業を担当。2004年から米国現地法人でネットワーク事業部長などを歴任し、豪州へ。週末はテニスやゴルフなどで体を動かし、家族と過ごす時間を大切にしている。