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 最近、特に米国を中心にユーザー数を急速に伸ばしている、画像の収集や共有をメインにしたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の「Pinterest」。前回は、このPinterestについて、企業が自分たちのビジネスに対して、どのように活用をしているかを、いくつかのパターンに分けて解説してみた。

 その活用方法は、自分たちが所持しているビジュアルコンテンツの公開先としての活用を軸にしつつ、自社のブログや企業サイトへの誘導につなげたりするという形が中心になっている。だが、それだけで本当に「活用」といえるのか、と懐疑的な見方をする人もいるかもしれない。はたしてビジュアルコンテンツを淡々と公開するだけで、ブランディングや、サイトあるいはブログに対してトラフィックをもたらすことができるか、という点については疑問も多い。実際に公開しているものを見ても、画像や映像といったビジュアルコンテンツと少々のキャプションでしかないものがほとんどだ。

 確かに、現在の米国のように、Pinterestのユーザー数が非常に多くなってくれば、ビジュアルコンテンツを活用した形での自社のブランディングや、その先にあるブログあるいはサイトへの誘導という活用方法も考えられる。だが、日本においては(今後ユーザーが急増しない限り)同じような活用の仕方が機能するかといえば別問題となるだろう。これは、Pinterestという言葉をFacebookに置き換えても、同じような問題を感じている人がいるはずだ。

画像と位置情報とを連携させた「tab」

 そうしたことを頭に浮かべつつ、Pinterestを今後どう活用していけばいいのか、と考えていた矢先に発表されたのが、「セカイカメラ」を開発した頓智ドットによる「tab」である。このtabは、ユーザーが収集した画像とその画像にかかわる位置情報を関連付けて、インターネットとリアル店舗を連携させる機能を備えているサービスのようだ。

 tabはソーシャルメディア型のアプリケーションとして、iPhone版、iPad版、そしてWebブラウザーで動作するパソコン版が用意される。このアプリでは、個人の興味や関心を、ビジュアルコンテンツとして、他のユーザーに公開でき、またWebページ上に公開されている画像を、自分のボードにレイアウトできる。そうした機能を聞くと、Pintestをイメージしてしまうが、Pinterestと決定的に違うのが、位置情報との連携機能を持つという点である。

 tabは、セカイカメラで培った位置情報との連携機能が伴っており、ユーザーが編集したビジュアルコンテンツを、位置情報と連携させられるようになっている。つまり、ユーザーが集めた画像を地図上に表示させたり、あるいはユーザーの現在地周辺にひもづけられている、他のビジュアルコンテンツを選んで表示させることが可能になるのだ。

 さらに、これらのビジュアルコンテンツを、「街」と結びつけられるようにしている。さっそく6月から、これらのコンテンツが生まれやすい地域として東京の渋谷と銀座の2カ所が、実際の店舗と連携したコンテンツを伴った形で、tab上で情報を発信していくことになるようだ。これは頓智ドットが有名人を含む複数の情報発信者(キュレーター)を揃え、かつ複数出版社の雑誌編集部と連携し、編集部が公開する「街角情報」を公開するというものとなるらしい。

自分たちの施策に取り入れるきっかけとなる

 個人的には、このtabというサービスは非常に大きな可能性を秘めていると思う。一言で言えば、Pinterest、および既存の位置情報連携型のSNS(Foursquareなど)それぞれの弱点を補い合った形の新しいプラットフォームとして、企業や店舗がわかりやすい形でビジュアルコンテンツおよび位置情報を自分たちの施策に積極的に取り入れられる、きっかけのツールとなってくれるだろう。『ビジュアルコンテンツ+(Webページやユーザーとの)つながり+位置情報』という要素が一つにまとまった形で展開、そしてシェアされることで、その活用方法はビジネス領域においても、様々な選択肢となって現れてくるはずだ。

 このtabは、2012年6月中の正式公開を控え、現在は事前登録ページが公開されているという状態である。こうした新しいサービスやプラットフォームが、どんどん増えていくことで、特に企業においてソーシャルメディアの活用を考える部門、担当者としては、ウォッチする対象が増えることで、ますます大変になってくるだろう。だが、今後の展開も含め、きちんと把握しておきたいものの一つであることは間違いないと思う。

熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)
リーバイ・ストラウス ジャパン デジタルマーケティングマネージャー
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)1974年生まれ。プロミュージシャンからエンジニア、プロダクトマネージャー、オンライン媒体編集長などを経て、マイクロソフトに入社。企業サイト運営とソーシャルメディアマーケティング戦略をリードする。その後PR代理店バーソン・マーステラでリードデジタルストラテジストを務め、2011年12月よりリーバイ・ストラウス ジャパンにてデジタルマーケティングマネージャーとなる。