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 前々回で、ビジュアルコンテンツの収集と共有をメインにしたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)である「Pinterest」の活用方法を分析した。そして、前回は、ビジュアルコンテンツに対して位置情報を連携させることで、場合によってはPinterestよりも大きな可能性を秘めているかもしれない頓智ドット「tab」を紹介してきた。

 Pinterestは、ビジュアルコンテンツに徹底的に特化することで、既にSNSの世界において新しい地位を確立しつつある。また「tab」の場合は、位置情報、特に「街」という独自の要素を、コンテンツの一部として組み合わせることで、また新しいポジションを獲得しようとしている。

 PCのみならず、スマートフォンなどのモバイルデバイスも含め、ユーザーの利用する端末の性能や使用環境は、以前よりも格段に充実してきている。このため、SNSを通じてやり取りされる情報自体も、よりリッチになってきているのは確かである。こうした状況においては、これらの新しいサービスは半ば必然的に登場してきたものとも言えるだろう。

ファッション業界での利用が活発化

 もちろん、まずは利用者が相当数確保されてくるということが大前提にはなるが、このようにSNS自体も多様化してくると、そのSNSをビジネスに利活用しようとする業界や企業も、より増加してくることになると考えられる。

 特に米国をはじめとした海外では、その傾向は徐々に見られている。中でもファッションの方面で、その活用がより高まってくるのではないかと予想されている。日本ではまだまだ馴染みがないものがほとんどではあるが、実際にファッションに特化したサービスも徐々に登場してきている。さらに、これらのサービスには、ECも絡んできているのが特徴的だ。

写真1●自分好みのファッションアイテムがカタログのように並ぶ「Svpply」
写真1●自分好みのファッションアイテムがカタログのように並ぶ「Svpply」
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 たとえば「Svpply」というサービスがある(写真1)。これはPinterestの競合とも言われているが、基本的には、ハイセンスなユーザーによって公開されているアパレル、アクセサリー、あるいは家庭用品などが並べられており、そこから値段を確認したり、購買したりといったことまで可能となっている。また、ユーザーが買いたいと思う商品を保存し、後で参照できるだけではなく、(アイテムをピックアップする)人によるフィルタリングを行うことで、自分好みのカタログのような形で閲覧できる形になっている。また、ECサイト上から簡単に「Svpply」にアイテムを登録できるような仕組みも用意されている。

 続いて「lyst」というサービスも紹介しよう。これも、やはりファッションに特化したソーシャル・ショッピングと商品のブックマークサイトである。ユーザー自身でフィードを購読する形を取っているが、特にデザイナーやスタイリストが多く参加しており、自分のお気に入りのデザイナーやスタイリストに関する最新情報を、「フォロー」する形で随時確認することができるようになっている。また、こちらも閲覧だけではなく購買にいたるまでのフローをシームレスに行うことができるようになっている

 ほかにも同様なサービスとして「Nuji」などがあり、ファッションの世界におけるSNSの活用が、これまでよりも非常に活発になっていることが容易にうかがえる。

フィード購読以外に多様な形でSNSの利用が広がる

写真2●ファッションへの質問に対してビジュアルな回答を表示する「Buyosphere」
写真2●ファッションへの質問に対してビジュアルな回答を表示する「Buyosphere」
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 また、これら3つの新しいサービスやPinterestのように、誰かをフォローすることで、そのユーザーがフィードするビジュアルコンテンツを追いかけるという形以外にも、様々な形でファッション系のSNS活用は進んできている。たとえば「Buyosphere」というサービスがある(写真2)。こちらは、あえて例えるのであれば「Yahoo!知恵袋」がビジュアル的にリッチになった上で、さらにファッションに対して特化されているようなサービスと言えるだろう。たとえば、着こなし方であったり、おすすめの服や靴、アクセサリーなどを質問すると、それに対し回答が寄せられるのだが、その回答が商品のビジュアルを伴う形になっている。

 先ほど指摘した、デバイスやインフラの性能向上によりやり取りできる情報がリッチになってきたという点に加えて、SNS自体が広く使われるようになってきたことで、他人のつながり、そして、そこから発生する影響力が無視できなくなってきている。こうした背景がある中で、これまで以上にファッションの世界においてSNSの活用が活発になっているのだ。

 もちろんファッションだけではない。先日も触れたように総額1億ドルに上るPinterestの第三者割当増資を楽天が中心となって引き受けている。このことからも考えられるように、ECの分野においても、今後一層、SNSの活用に拍車がかかることが考えられるだろう。さらに「tab」が今後推進しようとしている位置情報の連携という点まで考えると、それはECの分野に限らず、実店舗の領域にまで、その影響は及ぶはずだ。

 今回挙げたようなサービスが、どんどん、そのユーザー数を増やすにつれ、これまでSNSの活用とは縁遠かった企業や業界の参入が急速に増加してくることが考えられるだろう。

熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)
リーバイ・ストラウス ジャパン デジタルマーケティングマネージャー
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)1974年生まれ。プロミュージシャンからエンジニア、プロダクトマネージャー、オンライン媒体編集長などを経て、マイクロソフトに入社。企業サイト運営とソーシャルメディアマーケティング戦略をリードする。その後PR代理店バーソン・マーステラでリードデジタルストラテジストを務め、2011年12月よりリーバイ・ストラウス ジャパンにてデジタルマーケティングマネージャーとなる。