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 ミャンマーでのオフショア拠点開設に乗り出しているIT企業は、中堅やベンチャーだけではない。ITサービス最大手のNTTデータも動き出している。

2012年秋にNTTデータミャンマーを設立

 韓国の李明博大統領がミャンマーを電撃訪問した翌日の5月15日。厳戒態勢が続く首都ネピドーには、現地法人設立の書類一式をミャンマー政府に提出するため、同地を訪れたNTTデータの堀川雅紀グローバル開発推進担当部長の姿があった。

 同社は2012年秋に全額出資の現地法人、NTTデータミャンマーの設立を目指している。堀川氏は同社の社長に就任予定だ。まず社員50人程度で発足し、営業開始から5年以内に500人体制にする強気の計画を立てる。日系IT企業のオフショア開発拠点としては一気に最大級の規模になる。

 当初は現地IT企業へのオフショア開発委託も検討したが、「品質にこだわった開発の経験が少なく、日本の顧客向けの仕事をするために再教育するのは厳しい」(堀川氏)と判断した。

写真5●NTTデータミャンマーの社長に就任予定の堀川雅紀氏
写真5●NTTデータミャンマーの社長に就任予定の堀川雅紀氏
背後に見える建設中のビルに、同社の新オフィスが入居する予定

 開発拠点は現地IT企業が集積するヤンゴン郊外の「ミャンマーICTパーク(MICTパーク)」に設ける予定だ。パーク内に建設中のビルに、約800平方メートルのオフィスを借りる(写真5)。今後、本格的な採用活動に着手する。

 早期にNTTデータとしての企業ブランドの認知度を上げ、優秀な人材の確保につなげる秘策が、ヤンゴン・コンピュータ大との連携だ。早ければ2012年度中にも、同大学にIT関連の寄付講座を開設する。日本で培ったシステム開発手法や管理ノウハウ、最新技術などについて、日本から社員を講師として派遣して、現地の学生に教え込む。

IT系大学の教育底上げを期待する
写真B●ヤダナボン・サイバー・コーポレーションのティン・ト社長
写真B●ヤダナボン・サイバー・コーポレーションのティン・ト社長

ヤダナボン・サイバー・コーポレーション社長 テイン・ト氏

 民間IT企業が主導して設立したITパークが、ヤンゴンとミャンマー中央部のマンダレーに1カ所ずつある。マンダレーのITパークの運営会社が当社だ。政府が3割を出資し、7割は複数の民間IT企業が共同出資する。ヤンゴンのITパークの運営会社ミャンマー・インフォテックも、政府出資は1割にとどまる。政府のIT産業振興支援はあまり大きくないため、民間主導でITパークを造った。

 だからこそ、日系IT企業のミャンマー進出にとても期待している。ミャンマーのIT企業はハード販売が中心で、システム開発の能力はまだ高くない。日系IT企業と一緒に仕事をして、技術レベルを引き上げたい。国内のIT市場が小さくIT系大学を卒業しても雇用がないため、仕方なく海外へ出てITの仕事をしている若者も多い。日系IT企業の進出で若者の雇用がミャンマーで生まれる。まずはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)から始めて、徐々にシステム開発を日本から受託したい。

 全国のIT系大学の講師が足りない課題も解決する必要がある。大学の講師に技術やノウハウを教えるといった支援も日系IT企業に期待している。(談)