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エス・アンド・アイ
通信費低減にBYODを活用
月額料金の半額を会社が負担

 システムインテグレータのエス・アンド・アイは、従業員が利用するスマートフォンのデータ通信費を抑えるためにBYODを導入した。ただし、会社だけにメリットがあるのではなく、従業員が得をする形の制度になっている。

会社端末をPHSからiPhoneに切り替え

営業開発本部 システム開発部 シニアアカウントマネージャー 佐々 博音(左)営業開発本部 執行役員 本部長 村田 良成(中)マーケティング本部 本部長 増田 隆一(右)
営業開発本部 システム開発部 シニアアカウントマネージャー 佐々 博音(左)
営業開発本部 執行役員 本部長 村田 良成(中)
マーケティング本部 本部長 増田 隆一(右)

 同社は以前、約200人の従業員全員にPHS端末を支給していた。主に内線・外線の通話用だ。2009年10月、PHS端末の代わりにiPhone 3GSを支給した。「老朽化でリプレースすることにしたものの、もはやPHS端末は一般的ではなかった。そこで新機種が出たばかりのiPhoneを配ることにした」(同社 執行役員、営業開発本部の村田良成本部長)。

 当時はまだBYODという発想はなく、会社支給が当然と考えていた。ただ、スマートフォンにすることで、通話以外にメールやスケジュールも確認できるようになるので、PHS端末よりも便利になるはずだ。

 同じ頃、同社ではFMCを実現する製品「uniConnect」を開発していた。会社の固定回線からのコールバックを利用して、スマートフォンで会社の電話番号での発着信を可能にするソリューション製品だ。

 この方式では会社から自分のスマートフォンへ1回線、さらに会社から相手へもう1回線、合わせて2回線を同時に使うため、ランニングコストが上がってしまう。だが、決められた固定回線から携帯電話への通話を定額にする「ホワイトライン24」というソフトバンクテレコムのサービスを利用すれば、ランニングコストを以前と同程度に抑えられることが分かった。そこで、ファーストユーザーとして自らuniConnectを導入することにした。

月額利用料を会社と個人で折半

 ところが、実際にスマートフォンを支給してから大きな問題に気付いた。月額の通信料が2倍になってしまったのだ。リプレース前のPHS端末では、1カ月にかかる費用は平均約3000円だった。これに対し、スマートフォンでは基本料金とパケット定額料の両方がかかり、合わせて約6000円になった。

図2-3●私有スマートフォンの月額利用料を会社と個人で折半
図2-3●私有スマートフォンの月額利用料を会社と個人で折半
エス・アンド・アイでは2009年、従業員に配布する端末を携帯電話からスマートフォンへ移行したが、導入後に月額コストが2倍の約6000円になることに気付いた。そこで同社は2年の契約期間終了を待って、会社と個人で月額コストを折半するBYODプログラムを始めた。
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 そこで通信料を抑える策として、料金の一部を従業員が負担することになるBYODを活用することにした。といっても、単にスマートフォンを会社支給か私物かを選ばせるだけではBYODの展開は進まない。「従業員にうま味がないと促進されない。個人でスマートフォンを購入しても、会社から配られるならそのままもらっておこう、となる」(村田氏)。そこで、スマートフォンの通信料約6000円を個人と会社で折半することにした(図2-3)。

 既に新機種のiPhone 4を自分で購入し、会社のiPhone 3GSと2台持ちになっているユーザーもいた。ただ、2年契約の途中でiPhone 3GSを解約すると違約金が発生して余計に高くつくため、それが終了する2011年10月を待ってBYODの展開を始めた。

 私物のスマートフォンについては、会社支給の端末と同様、MDMで管理している。uniConnectにはMDM機能も搭載されており、それを活用している。その中で重宝しているのは、ユーザー自身がスマートフォンのデータ初期化・回線停止を実施できる「セルフ・リモートワイプ」だという。一般的なMDMでは、スマートフォンの紛失時にはユーザーはまず管理者に連絡し、管理者がワイプなどを実行する。セルフ・リモートワイプを使えば、管理者と連絡がつかない場合でも、紛失に気付いたユーザーが即座にワイプを実行できる。

Macを含めたマルチプラットフォームへ

 もう一つ、同社ではBYODの取り組みとして2011年11月から、社内で利用するPCの機種をMacを含めて選択できるようにした。基本的には会社支給なので狭義のBYODには当たらないように思うかもしれないが、もともと欧米ではこうしたスタイルの業務利用形態もBYODに位置付けられている。

 こうした制度を取り入れるきっかけの一つは、ちょうどWindows 7への切り替えの時期だったことがある。どうせならMacも含めたマルチプラットフォームの環境を社内に構築しようということになった。「一般の企業とは視点が異なるかもしれないが、システムインテグレータという立場からは、どうすればマルチプラットフォーム環境の使い勝手を高められるのかを体験するチャンス。日々の業務の中でヒントを得たいと考えた」(村田氏)。現在、同社で使われている180台のPCのうち、40台程度はMacになっているという。

 Macを社内で利用する際に問題となったのは、頻繁に使う社内システムがほとんどWindowsをベースに構築されていた点。基幹業務システムや受発注システム、交通費精算、承認系のワークフローなどである。交通費精算やワークフローはWebベースだが、Internet Explorerに依存しているので結局Windowsを使う必要があった。

 こうしたシステムをMacから使うために、同社では仮想デスクトップのVMware Viewを導入した。すべてのMacユーザーが常に業務システムにアクセスしているわけではないので、最小限のライセンスだけを購入してコストを節約している。また、Windows PCはActive Directory(AD)で管理しているが、Macの場合はADの認証機能だけを活用し、ドメイン外の管理とした。ドメインに参加しなければアクセスできないサーバーについては、同様にVMware Viewを利用する。

 Macを含めたマルチプラットフォーム化で見落とされがちなのは、周辺機器の対応である。例えばプロジェクターなどについては、WindowsとMacの両方をサポートする製品を選択する必要があるという。

POINT
●BYODの促進には、ユーザーにメリットが出るような施策が重要
●紛失に最初に気付くのはユーザー自身なので、早期の対処にはセルフ・リモートワイプが効果的