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ビジネスブレイン太田昭和
会計システム研究所 所長
中澤 進

 SEC(米国証券取引委員会)は2012年7月13日、米国でのIFRS(国際会計基準)導入方法を検討するワークプランプロジェクトの最終報告書を公表した。内容的には、2011年以来、述べていた考慮事項をまとめたものと言ってよいであろう(関連記事:米国の動きに見るこれからのIFRS(上)同(中)同(下))。

 ある程度想定されていたことではあるが、最終報告書では米国へのIFRS取り込みの時期や方法について、一切言及していない。また、金融庁は7月25日時点で、この最終報告書に関して特に声明を出していない。

 SECの最終報告書については、機会を改めて取り上げてみたい。今回と次回の2回では、そのほぼ1カ月前の6月14日に金融庁が公表したIFRSに関する報告書について説明していく。この報告書も今回のSECの発表と併せて、IFRS導入に関する金融庁の今後の動向に影響を与えるとみられる。

「性急で強いフォームでの強制アドプションは支持しない」

 その報告書とは、「オックスフォード・レポート『日本の経済社会に対するIFRSの影響に関する調査研究(The Impact of IFRS on Wider Stakeholders of Socio-Economy in Japan)』」である。金融庁のWebサイトから無料で入手できる。

 報告書は本論が217ページに及ぶ大作である。2ページの要約版を添付しているが、この要約では作成者の意図が伝わらないため、本論を読むことをお勧めする。ちなみに金融庁は同じく6月14日に企業会計審議会を開催し、「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方についてのこれまでの議論(中間的論点整理)(案)」を示した(関連記事:「連単分離を前提に議論を深める」、金融庁審議会がIFRS適用の論点整理案を提示。金融庁は7月2日に、中間的論点整理を正式に公表した)。

 報告書では日本への政策提言として、「短期・中期的(5-15年)な対応が必要」であり、「日本における性急で強いフォームでの強制アドプションは支持しない」としている。これは2011年の前・金融担当大臣によるIFRS導入見直しの発言、およびそれ以降の企業会計審議会での議論とある程度、軌を一にした内容とみなせる。米国の動向を鑑み、金融庁が狙っている(とおぼしき)方向性とも合致しているように見える。

 以下2回に分けて、この報告書の内容や背景、日本でのIFRS導入に関する議論への影響などについて考えてみたい。