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 前々回、そして前回とバーソン・マーステラの「グローバル・ソーシャルメディア・チェックアップ」について話をしてみた。すると、日本でも先日、gooリサーチによる「企業におけるソーシャルメディア活用状況」調査が発表された。「グローバル・ソーシャルメディア・チェックアップ」の調査対象企業が、フォーチュン・グローバル100企業で、そこに含まれている企業の70%以上が欧米企業なのに対し、「企業におけるソーシャルメディア活用状況」調査は(一部外資系企業も含まれているかもしれないが)日本国内に特化したデータになる。

今後高い可能性が見込める日本でのソーシャル活用

 この2つの調査結果を細かく見ていくと、日本と欧米を中心とした海外のソーシャルメディア活用の差異も浮き彫りになってくる。特に日本の場合、まだまだ「これから」と言える部分も大きい。もちろん「これから」というのは決して「遅れている」という意味ではなく、今後特に規模的な部分で大きくなっていく可能性が高いことを意味する。

 たとえば企業の公式アカウントの所有率などを見ると、グローバルではTwitterアカウントが80%以上、Facebookページが70%以上、そしてYouTubeチャネルが80%近い数字になっている。文字通りに、フォーチュン・グローバル100の中で大多数の企業が既にソーシャルメディア上に公式アカウントを所有している状況である。

 一方日本ではFacebookページとYouTubeチャネルで50%を超えているものの、そのほかはいずれも半数に満たない。また日本では大企業ほどソーシャルメディアに対する導入障壁が高い傾向にあるようだ。「グローバル・ソーシャルメディア・チェックアップ」では、(特に欧米を中心とした)大企業のみを対象にしているにも関わらず、公式アカウントの所有率がどのソーシャルメディアにおいても非常に高い数値になっている。こうしたグローバルの状況に比較して、日本の大企業が今後どこまでソーシャルメディアを本格的にビジネス方面に活用していくかが注目される。

 ただ、今後の活用が活発化していくためには、どうしても人材というリソース面が課題になってくる。実際に「企業におけるソーシャルメディア活用状況」調査では、どのソーシャルメディアにおいても「人材が不足している」という回答が多く見られることからもわかる。現実を考えると「ソーシャルメディアを積極的に活用していきたいのはやまやまだが、その分野に対して既存のリソースを割り当てるだけの余裕がない」という状況にあり、「専門の部署を設けたり、専任担当をアサインするというところまでの投資は難しい」というケースが典型だろう。

 とはいえ、依然として半数近くの企業がリソースとして「拡充・増加しそうなものはない」と回答している中でも、特に大企業を中心にソーシャルメディアのリソースについては予算を拡充する方向で考えている傾向にあるというのは、ある意味今後の可能性に関して若干希望が持てるかもしれない。

リソース確保のためにも効果の伝え方が重要

 グローバルでの傾向を見ると、ソーシャルメディアの公式アカウントの保有率は高いのはもちろんのこと、各ソーシャルメディア上で複数のアカウントを、それぞれ目的や用途に応じて使い分けた形での運営が多くなりつつある。「ソーシャル・メディア・チェックアップ」によると、一社平均で約10個のTwitterアカウントやFacebookページを保有しているという結果が出ている。Google+やPinterestも、平均すると約2アカウント保有されている。こうしたことを考えると、グローバルでは複数アカウントの運営がもはやスタンダードになりつつあるとも言えるだろう。

 もちろん、このように複数アカウントを運営するためには、まずこれだけのアカウントをきちんと運営させられるだけのリソースを、人員的にも、そして予算的にも確保しておかなければならないことが大前提となる。フォーチュン・グローバル100企業の多くはグローバルに事業を展開しているため、国ごと、そして言語ごとにアカウントを開設しているという背景はある。それでも、たとえばマーケティング目的や人材採用目的といった、異なる目的に合わせてFacebookページやTwitterアカウントを使い分けるという方法は、今後日本でも考える必要が出てくるかもしれない。

 ただし、その際に「何を目的とするか」そして「そこから得られる効果は何か」という点を突き詰めて考えていく必要があるだろう。「企業におけるソーシャルメディア活用状況」調査でも「営業上の効果が見えない」という回答が少なからず見られる。「営業上の効果」以外の効果の見出し方、そして間接的にもたらされる効果を、どのように「営業上の効果」として結びつけ、そして考えるかといった、ロジックの組み立て方が、今後ますます問われていくことになるだろう。

熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)
リーバイ・ストラウス ジャパン デジタルマーケティングマネージャー
熊村 剛輔(くまむら ごうすけ)1974年生まれ。プロミュージシャンからエンジニア、プロダクトマネージャー、オンライン媒体編集長などを経て、マイクロソフトに入社。企業サイト運営とソーシャルメディアマーケティング戦略をリードする。その後PR代理店バーソン・マーステラでリードデジタルストラテジストを務め、2011年12月よりリーバイ・ストラウス ジャパンにてデジタルマーケティングマネージャーとなる。