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 残念な提案書で最も多いのが、あっさりし過ぎているなど、やる気や熱意が感じられない提案書だと思います。

 熱意は、ベンダー選定において特に重要な決定要素です。誰かにルーチンワークを依頼する場合は熱意よりも確実さ、安定した品質、信頼性などを重視するでしょう。しかし、さまざまな課題をクリアしてゆかなければならない不確実性の高いプロジェクトでは、それらをやり抜くための原動力となる熱意はなくてはならない要素です。

 RFPによるベンダーの選定では、もっぱら金額で決まってしまうような案件は別として、提案内容の質が問われる案件で熱意を欠くベンダーが選ばれることは少ないと思います。

 では、熱意とは一体何なのでしょうか。インターネットで検索してみると、「物事に対する意気込み。熱心な気持ち」という解説が見つかりました。熱意と似た意味合いの言葉に「意欲」「意気込み」「やる気」などがあります。

 熱意は、その人の心の持ち方で決まります。上司が命令したからといって、意欲ややる気が出るわけではありません。提案を依頼する側としては、そのことを十分に考える必要があります。

 ベンダー側から見ると、案件には“おいしそう”に見えるものと、“おいしそう”に見えないものがあります。やる気が感じられない提案書が出されるのは、その案件がベンダー側から“おいしそう”に見えていないのだと思います。

 あるユーザーのマネジャーがRFPを提示する際、ベンダーの競合心を高めようと、「こう景気が悪いとベンダーも仕事が少ないから、少々条件が悪くてもベンダーは必死で受注しようとするはずだ」と言っていました。そのような考え方のユーザーとは、できるだけ関わりたくないというのが、ベンダーの素直な気持ちです。

 ベンダーのエンジニアは、ベンダーを見下す態度を取るユーザーや、硬いことばかり言って融通が利かないユーザーを嫌います。営業活動を通じて、相手がそのようなユーザーであることが分かると、やる気を失います。仕事を受注しなければ会社としてやっていけませんから、立場上は受注に向けて一生懸命に提案書を書きます。しかし、いまひとつ気持ちが乗らないので、それを受け取ったユーザーには熱意の感じられない案件書と映るのです。

 ユーザーがベンダーのやる気をそぐような態度を取れば、得られる提案書の質は確実に低下します。ユーザーとベンダーが相互に協力しなければ、プロジェクトの成功は望めません。お互いに相手を尊重して提案プロセスから良好な関係を築き、それを維持していくことが大切です。