PR

 日本IBMが2012年8月29日に発表したメインフレームの最新機「zEnterprise EC12(zEC12)」は、業界最高速のプロセッサを中核に、富士通の最新機「GS21 1600」と比べて、10倍以上の性能差を実現した(本誌推定)。

 専用に開発した新型プロセッサは、動作周波数が5.5GHzで世界最高。1台当たりの最大処理性能は7万8000MIPSで、2年前に発表した前機種の1.5倍。Linux OSやJavaアプリケーションを稼働させる“最強マシン”となった()。

図●日本IBMの「zEnterprise EC12」と他社メインフレームの比較
2010年以降に出荷した、独自プロセッサを使ったメインフレーム
[画像のクリックで拡大表示]

 メモリーをふんだんに使うJavaアプリケーションやトランザクション数の多いデータベースサーバーでの利用を想定。富士通機に比べて10倍超となる最大3テラバイトのメモリーを搭載できる。「顧客から要望があれば、さらに3テラバイト上乗せできる」(日本IBMシステム製品事業の北沢強エバンジェリスト)という。

 メインフレーム上で稼働する分析ソフトと、外部のデータ処理の専用装置「Netezza 1000」を連携させ、処理を大幅に高速化することもできる。

 こうした特徴から、メインフレームというよりオープンシステムとしての需要が高まっている。

 「z/OSの既存アプリケーションを維持する一方で、Linux上で稼働するDB2やOracle Databaseを使って新たな基幹系システムを構築するのが主用途だ」(システムz事業部の大島啓文事業部長)。

 IDCジャパンによれば、日本IBMの2011年のメインフレーム売上高は約350億円で、富士通を抜いて国内首位に立った。オープンシステム集約の需要取り込みが実った形だ。実際、国内で新たに出荷するIBMのメインフレームのうち、性能指標のMIPS値換算で7割がLinuxの用途という。

 日本IBMは、従来顧客の金融機関を中心に今後1年間で25台の販売を目指す。国内で約1000台が稼働するIBMメインフレームの更新需要を取り込むほか、他社のメインフレームやハイエンドサーバーからの乗り換えを狙う。

 売上高が最盛期に比べて半減した日本IBM。成長路線へと転換できるかどうか。従来システムを防衛しつつ、オープン系の大型案件を提案できる「z」の売れ行きが試金石となりそうだ。