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 日本ケーブルテレビ連盟は、2011年12月から無償提供を開始した番組流通システム(AJC-CMS:All JapanCable - Contents Management System)について、2012年10月から有償化させる方針を決めた。

 AJC-CMSは、ケーブルテレビ局による地域コンテンツの全国的な制作・流通などを促進させることで、地域コンテンツを競争上の優位性のある武器に成長させることを目的として開発が進められてきた。連盟は、「地域コンテンツを相互利用でき、事業者間の情報交換も円滑に行えるコンテンツ流通プラットフォーム」と位置づける。これまで約230の事業者が利用あるいは体験したという。今回有償化に踏み切ることで、このプラットフォーム事業のビジネスモデルを確立し、安定的に継続し発展させることが可能な体制の構築を目指す。

 AJC-CMSは、主にブラウザ経由で簡易に番組素材の交換が可能になるもので、「完成版番組の映像・音声データ、番組基本情報などのアップロード/ダウンロード機能」「プレビュー動画の自動作成、視聴」「新着コンテンツ情報の確認、各種Q&A、利用者同士の情報交換」などの機能を実装する。テープなどのメディア代やダビング代、郵送代などが必要で、かつ様々な作業が要求された従来の仕組みと比べて「番組交換コストが大幅に低減できる」「番組制作・編成スタッフの業務負担を軽減できる」などが利点である。

 また、地域コンテンツの流通が進むことで「バラエティに富んだ魅力ある番組編成が可能になる」「リッチコンテンツの安定取得」などが期待できるとする。今後、AJC-CMSを活用して全国のケーブルテレビ局の番組制作力の連携を強化した魅力あるコンテンツの創出を予定するといい、視聴者の顧客満足度の向上なども見込めるという。

 利用料は、ケーブルテレビ連盟に加盟する正会員のオペレーターが月額8000円(年9万6000円、局単位)、連盟加盟の正会員サプライヤーが月額10万円(年120万円、チャンネル単位)である。またAJC-CMS利用の特別会員の枠も用意し、事業形態やカテゴリーに応じて、相当額を設定する。

 AJC-CMSは、これまで例えば「けーぶるにっぽん」(ケーブルテレビの力を結集して、地域を応援し、地域の話題を全国に発信するような番組)の取り組みなどで利用されてきた。また、2012年10月1日に新しいコミュニティチャンネル「にっぽんケーブルチャンネル」(JCNグループが制作する首都圏の地域番組に加え、日本各地のケーブルテレビ事業者が制作する地域番組やお祭り番組など視聴できるチャンネル)の放送開始を予定するジャパンケーブルネット(JCN)がその番組交換にAJC-CMSを利用すると表明している。今後全国規模・地域別など様々な場面で、ケーブルテレビ業界が共通で利用できる番組流通の基盤としての利用が期待できそうだ。