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 中国における日本向けのオフショア開発規模が拡大している。オフショア拠点のひとつが西安ソフトウエアパークである。年間成長率は前年比35%で推移し急成長している。日本のIT企業もNECや富士通など50社が進出済みだ。西安ソフトウエアパークを管理する西安新技術産業開発区管理委員会の陳洪濤副主任は西安へ進出するメリットなどを語った。

(構成:西 雄大=日経コンピュータ


北京アウトソーシング・サービス企業協会(BASS)理事長 曲玲年氏
西安高新技術産業開発区管理委員会副主任 陳洪濤氏

 中国における日本向けのオフショア開発規模は、今後も右肩上がりで伸びていくとみている。例えば中国の西安ソフトウエアパークを中心とした2012年の対日輸出額は、1億ドルを突破する見通しだ。

 IT集積地の西安ソフトウエアパークに進出する日本のIT企業は、NECや富士通など50社を超えている。ここ数年間の成長率は前年比35%というハイペースを維持している。

 開発特区の西安高新区における2010年のソフトウエアと情報サービスアウトソーシング産業の総収入は430億元に達する。同区にはIBMやオラクル、SAPなど欧米の大手IT企業も進出している。

 西安には日本のほか、シンガポールやフランクフルトなど約30の都市から国際線が就航している。西安の空港は中国の6大空港の一つと言われている。国内の高速鉄道のネットワークも充実している。上海までは4時間半、成都までは2時間だ。

 日本のIT企業が西安ソフトウエアパークに進出するメリットは大きく3つある。

 まずは人材の豊富さだ。国立大学などから毎年20万人の卒業生を輩出する。そのうち約6万人が電子情報関連の知識を学んだ人たちだ。雇用の受け皿も用意している。例えば我々が設立する人材データバンクには、毎月約40社が新たに登録している。

 人材の流動性も他地域よりも低く、離職率は13%程度だ。人材の定着率が高いので、長期間かけて仕事を任せやすい。現地の拠点にスキルやノウハウもたまる。難しく長期にわたる仕事も請け負える。

 二つ目は北京や上海と比べて固定費が安いことだ。家賃は3分の1程度で済む。1人当たりの可処分所得で比較しても、西安は北京の3分の2、天津の5分4ほどだ。人件費も北京はもちろん天津より安い。

 西安ソフトウエアパークは事業展開を支援するインフラも充実している。これが三つめのメリットだ。具体的には光ファイバー網や国際専用線といった通信設備を整備している。

 電力についても24時間中断しない仕組みを設けている。2012年4月からはパークに入居する企業が行政審査といった政府関連のサービスを無料で受けられるようにもなった。病院や住宅など生活環境も充実している。日本のIT企業には、ぜひ西安に進出し、オフショア拠点を設けてもらいたい。(談)