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 今回は海外に本社のあるグローバルIT企業の日本法人のケースを紹介します。

 この会社を仮にA社とします。A社のソリューション製品は、英語圏で開発されているためユーザーインタフェース、インストレーションガイド、オペレーションマニュアルなど、すべて英語表記になっています。

 オペレーションマニュアルなどのドキュメントコンテンツの翻訳については、各ソリューション製品の責任者からのリクエストに基づき、日本法人社内の数名のプロジェクトマネージャーが複数の国内の翻訳会社から案件ごとに見積もりを取って発注していました。ソフトウエア製品やハードウエア製品のユーザーインタフェースについては、十数名の正社員と契約社員が英語から日本語へ変換していましたが、ローカリゼーションに関しては経験も浅く、品質・効率の観点で問題があったようです。

 組織変更により担当マネージャーが変わったことを知って営業活動を開始しました。数度のミーティングを経て、以下のようなことがわかりました。

  • A社のソリューション製品はグローバルでは非常に大きなシェアを占めている(ソリューション製品は、グローバルスタンダード)
  • 日本国内のローカルマーケットでは国産の大手IT企業も同様なソリューション製品を販売しており、「日本語化」の点で顧客から評価されシェアを伸ばしている(日本ではグローバルほどのシェアはとれていない)
  • 営業資料やインストレーションガイド、ソリューション製品のユーザーインタフェースが英語のため、英語の苦手な営業、SE、お客様も敬遠するケースが多かった。このため、日本の販売チャネルパートナーは「日本語化」を充実してほしいと要求している(現時点では「日本語化」が日本でのビジネス展開の大きな問題)
  • そこでA社としては、現行の「日本語化」ローカリゼーション・プロセスを効率化して、カバレッジを広げ、市場投入期間(Time to Market)を短縮し、「日本語化」の品質を向上させ国産企業に対抗したいと考えている(ローカリゼーションをビジネスドライバーに)
  • 組織変更にともない現在この「日本語化」プロジェクトに関係している社員を他の営業関連部門に異動させたいと考えている(間接部門から直接部門への経営資源の再配置 - コアビジネスに専念)
  • それによりローカリゼーション・コストを明確に可視化し、グローバルな税務上の理由から、運営費OPEX(Operating Expense)と売上原価COGS (Cost of Goods Sold)のバランスをとりたいと考えている(GLOBAL + LOCAL = GLOCALな効率的オペレーションの実行)

餅は餅屋に、アウトソーシング

 そこで、筆者は、BPO(Business Process Outsourcing)モデルをマネジメント上層部に提案しました。

 A社では、「コアビジネスに専念せよ」という全社的な方針もグローバルで打ち出されていました。社内の間接部門のコストを削減し、社員全員を「営業戦力」としてコアビジネスの成長リソースとするということを徹底したい上層部のマネジメントの意向に、この提案が合致したわけです。

 その結果として、筆者の会社からコンサルタントとプロジェクトマネージャーをA社に送り込みました。それも、社員バッジとメールアドレスも付与してもらった上で、単なる受け身のベンダーとしてではなく、ビジネスパートナーとして、現行のプロセスの分析や見直しを実施し(Process Re-engineering)、社内調整、プロジェクトマネジメントを含め、すべてのタスク処理を一括して請け負うというものです。

 ソリューション製品の「日本語化」に関しては、筆者の会社内に独立したラボをつくり、A社のプラットフォーム製品やアプライアンス、アプリケーション製品に至るまでテスト環境を構築し、実環境でのテストまで実施しました。その上で、国際化(Internationalization:i18n)に関するバグなどを発見した場合は、A社の本社開発部門と直接連絡を取り合い、i18nに関するアドバイスを実施しました。

 A社のマネジメントに対するリポートとして、これらのBPOに関するROIを算出するため、詳細なKPI(Key performance Indicator)を定義し、毎月レポートを作成するところまで完結して実行しようとしたのです。