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 通信インフラからモバイルルーターやスマートフォンなどの端末分野まで、中国ファーウェイ(華為技術)が世界市場で大きなプレゼンスを示すようになってきた。通信インフラの分野では、業界トップのスウェーデン・エリクソンを追い抜く勢いだ。その一方で中国企業という理由からか、欧米各国で軋轢も目立ってきた。例えば米下院情報特別委員会は10月頭、中国政府との関係から安全保障上の脅威があるとし、ファーウェイの機器に対し米政府の通信システムから除外する求める報告書を発表している。

 では日本は、世界を揺るがす巨大企業に急成長したファーウェイとどのように付き合っていけばよいのか。安全保障上の脅威が本当なのか、それとも経済摩擦が生んだこじつけなのか。その判断を下す前に我々は、ファーウェイという企業をもっとよく知る必要がある。

 ファーウェイは中国人民解放軍出身の任正非(レン・ジェンフェイ)が1987年に中国深セン市で起業した、まだ設立25年足らずの民間企業だ。売上高は世界市場に打って出た2000年以降に急拡大しており、2011年の売上高は約324億ドル(約2兆4928億円)に達している。

 これまで売り上げの大部分を通信インフラ分野で占めていたためか、ファーウェイは通信事業者の黒子として、あまり自社をアピールしてこなかった。CEOの任正非氏はこれまでめったに表舞台に登場せず、謎めいた雰囲気を醸し出していた。

 ただここにきて、黒子に徹してきたファーウェイのスタンスは変わりつつある。安全保障上の脅威というイメージを払拭するためか、積極的に自社の取り組みを開示するようになってきたのだ。また通信インフラ分野だけでなく、一般消費者向けの端末分野、さらにはエンタープライズ分野にもビジネス領域を広げ、ICTの全方位を狙う動きを見せる。

米国の大学キャンパスのような広大な本社施設

 中国主要都市における反日デモの報道が激しさを増していた2012年9月下旬、記者は中国深セン市にある、「キャンパス」と呼ばれる広大なファーウェイ本社に足を踏み入れた(写真1)。

写真1●深セン市郊外のファーウェイ本社キャンパスの全体像
写真1●深セン市郊外のファーウェイ本社キャンパスの全体像
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 東京ドーム約42個分に匹敵するというこのキャンパスでは、30歳前後に見える社員が身なりのよいラフな格好で行き来している。その光景だけを見ると、まるで米国の大学のキャンパスのようだ。事実、14万人の社員の平均年令は約29歳。そのうち、修士課程を修了した社員が約4万5000人、博士課程修了者が約1300人在籍しているという。昼夜を問わない猛烈な働き振りで知られるファーウェイ社員だが、一人ひとりの素顔は、素朴で実直でバイタリティーに溢れた印象を受ける。実際、子供を持つ若手の女性社員でも、アフリカ内部への転勤を命じられることがあり、このような命令にも厭わずに現地に赴くという。