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 無駄なシステムを捨てるために、システム部門だけで実践できることもある。ソニーの元CIOで、ガートナージャパンのエグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏は、「ユーザー部門を巻き込むことが理想的。だが、システム部門内の活動だけでも4割のコストを削減し、新たな投資の原資を生み出せる」と指摘する(別掲記事を参照)。

 システム部門が「自分たちで止めるルール」の一つが、システム統廃合や共同化だ。似たようなシステムが社内に散在していても、当事者であるユーザー部門の視点で見れば、それぞれは「業務の最前線で活用している“廃棄できない”システム」となる。そのため、システムの統廃合や共同化は、システム部門が主体的に進めないと実現できない。

 東京ガスや帝人は、システム刷新を機に「部門単体、グループ会社単体のシステムは開発しない」というルールを定め、それに基づいてシステムを刷新中だ。日本ゼオンはシステム部内の意識を共有するために、ABC分析を使って廃棄対象を絞り込む。ソニー生命保険はこうしたルールを作るために会議体を発足した。

個別システムは原則禁止──東京ガス

 東京ガスは2013年8月の全面稼働を目指し、ガスの開閉栓や機器の販売など四つの業務システムを刷新している。その際、「既存の個別システムは廃棄し、共通システムに移行する」というルールを設けた(図1)。

図1●東京ガスが再構築中の業務システムの全体像
システム刷新を機に事業個別のシステムを廃棄。共通システムに移行する
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 同社は事業部ごとの独立性が高く、システムも個別に構築していた。例えば、ガスの開閉栓業務のための受付業務や現場管理、ガス機器の修理業務のための受付業務や現場管理など、それぞれは似ている機能であっても、システムは個別に開発・運用してきた。

 また、ガスのトラブルといった緊急対応の際、一時的に利用するシステムをユーザー部門が勝手に構築していた。約200のシステムが、使い終わってからも捨てられずに放置されていたという。

 システム刷新では、これら個別システムを一掃。今後も利用するものについては、共通システムに移行する。事業部門や業務によって必要な機能だけを使う。「いかにして個別対応を減らすかに注力した」(ライフバル推進部の鴫谷あゆみマネージャー)。