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 ベトナムに拠点を置くオフショア開発企業に聞くと、最近は自社ブランドの技術や製品の開発に取り組んでいるという。これも、現地での人件費の高騰に伴う危機感の現れの一つ。オフショア開発一辺倒からの脱却を目指そうとしているのだ。

 例えばバイタリフィ アジアでは、自社技術として顔認識機能やバーチャルメイクアップ、AR(拡張現実感)などを持っている。こうした技術は、現在は開発請け負いの際の強みの一つとして位置付けているが、いずれはこれらをベースとした自社ブランドのアプリ開発も目指している。同社では、2012年には300人体制、2016年には1000人体制にしたいという。豊富な開発陣を抱えることで「世界一のモバイルアプリ開発会社」を目指すとしている。

自社技術を活用し自社ブランドの開発を目指す

写真1●ISBベトナムが開発したAndroidプリンティング・フレームワークのダイアログ画面
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 ISBベトナム代表取締役社長の伊藤修氏も、オフショア開発に依存する体制には危機感を募らせている。「人件費の増加によりベトナムでの開発コストは上がるが、日本での受注単価は伸びない。それをどうカバーするかを考えたとき、稼働率や生産性を上げる一方で、自社製品としていいものを作って世界に売っていくことを考えたい」(伊藤氏)。

 ISBベトナムが開発した自社ブランド製品の一つが、2011年11月に発表し、「Embedded Technology 2011」(ET2011)に出展したAndroidプリンティング・フレームワーク(APF、写真1)。もともと印刷機能を持たないAndroidのアプリ向けに、印刷機能を追加できるようにしたもので、2700機種以上あるとされるプリンターのほとんどに対応しているという。同社のベトナム人若手社員による製品である。「組み込みソフトウエアの推進団体であるOESF(Open Embedded Software Technology)と連携して、既に大手企業に納品している実績がある」(伊藤氏)とする。

写真2●iSpreaderの画面写真。同一アクセスポイント配下にある端末からの情報を共有できる
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 2012年7月には、「iSpreader」と呼ぶ、Android上で動くSNSアプリケーションを開発した(写真2)。同じ無線LANのアクセス・ポイントの配下にあるAndroid端末同士で情報を共有できるサービスである。広告や商品カタログ、会議資料の配布といった用途を想定している。

 これは、ベトナムでの利用を強く意識した製品だという。「ベトナムは、無料の無線LANアクセスポイントが設置されている場所が多く、“Wi-Fi天国”と言われている。多くの需要があると見込んでいる」(伊藤氏)。

 今後期待されるベトナムの内需拡大と共に、こうしたオフショア企業発の自社ブランド製品は増えていきそうだ。