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 リーンスタートアップで重視するのは作業の素早さだ。コクヨS&Tと良品計画はどのように実践したのか。

 リーンスタートアップの「構築」「計測」「学習」それぞれにかかる期間や手間を削減する――。コクヨS&Tは、この点を重視している(図1)。

図1●「CamiApp」の開発サイクルを素早く回すための主な取り組み
コクヨS&Tの事業部門や技術部門の約10人が部門横断のチームを構成し、リーンスタートアップ型の製品開発を実践している
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写真1●コクヨS&Tの「CamiApp」
紙に手書きで書いた内容を、スマートフォンで撮影してEvernoteやDropboxなどに保存できるノート。撮影には専用アプリを利用する
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 適用したのは、紙のノートとスマートフォン用アプリを組み合わせた商品「CamiApp(キャミアップ)」の開発だ。ノートに書いた文字をスマホのカメラで撮影して、「Evernote」などのクラウドサービスに手軽に保存できる(写真1)。2011年9月に発売して以来、半年で約50万冊を突破し、看板商品となった。

 ヒットの一因は頻繁な機能向上。アプリは1~2カ月に1回、バージョンアップしている。ノートも「企画から1~2週間で試作品を作り、顧客の反応を確認できる」と、プロジェクトを立ち上げたメンバーの一人である山崎篤 @Tovas事業開発部長は話す。

顧客に直接会ってヒントを得る

 CamiAppに関わる10人強のメンバーの大半が他業務との兼任。「時間が限られるなかで開発スピードを上げようと知恵を絞った結果、実現手法が自然とリーンスタートアップ型になった」と山崎氏は説明する。

 構築フェーズでは、スマホ用アプリのユーザーインタフェース(UI)に対する割り切りでスピードを高めた。OSの標準的なライブラリをできるだけ利用し、作り込みを避けた。「時間とコストをかけて独自仕様を盛り込むと、あとで修正が大変になる」(同)からだ。iPhone用アプリとAndroid用アプリでのUI統一も見送った。

 リーンスタートアップでいう計測のフェーズ、つまり顧客の反応を調べる際には、市場調査をほとんど利用しなかった。「不特定多数のユーザーに『どんな機能が欲しいですか』と聞いても、商品の改良に役立つヒントは集まりにくい」と山崎氏は話す。

 CamiAppの開発メンバーが代わりに出向くのは、ターゲット顧客となりそうな消費者が集まる勉強会やセミナーだ。Facebookなどでイベント情報を収集し、メンバー自身が直接顔を出す。ここでCamiAppのユーザーやユーザー予備軍を見つけ、商品に対する要望を直接聞き出すのである。

 その際、ただ質問するだけでなく、ノートとアプリの試作品を渡して、その場で使ってもらう。「ユーザーの行動を自分の目で観察して初めて気付く改良点は多い」(山崎氏)。

 学習フェーズでは、集めた計測データをCamiAppプロジェクトのメンバー全員で持ち寄り、アプリとノートに盛り込むべき機能の取捨選択や、連携先となるクラウドサービスの検討などに生かす。