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 企業のCIO(最高情報責任者)が抱える課題は急速に変化している。従来の「基幹業務システム」「社内情報システム」の枠組みに収まらないテクノロジーの応用分野が増えている。米ガートナーでCIO向けのアドバイスプログラムを担当するマーク・マクドナルド氏は、「ITという言葉はもう古い」と話し、CIOは技術に対してこれまでとは異なる構えで臨む必要があると語る。その真意を聞いた。

(聞き手は清嶋 直樹=ITpro


「ITという言葉はもう古い」とはどういうことか。

米ガートナー エグゼクティブプログラム グループバイスプレジデント 兼 ガートナーフェロー マーク・マクドナルド氏
米ガートナー エグゼクティブプログラム グループバイスプレジデント 兼 ガートナーフェロー マーク・マクドナルド氏
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 私は「technology>IT」、すなわち、テクノロジーは従来のITの枠組みに収まらなくなっていると主張している。公の場(関連記事)や、私のブログなど、様々な場で繰り返し言っていることだ。

 ガートナーは、全世界の企業CIO約2000人を対象とした調査を毎年実施している。2011年以降は、CIOの戦略の優先順位について尋ねる質問で、「企業成長を加速する」「新規顧客を獲得・維持する」という回答が1位と2位を占める。「企業コストを削減する」はそれより下だ。

 私が多くの企業CIOと直接話す中でも、コスト削減を目的としたIT投資は既に一巡していて、成長につながるIT投資でなければ予算は付きにくくなっている実態がうかがえる。成長を加速させたり、新規顧客を獲得したりするには、従来のITの枠組みにはとどまらない発想が求められる。

従来のITとは異なる4つのキーワード

「テクノロジー」とは何を指すのか。従来のITと何が違うのか。

 ガートナーは、台頭する新しいテクノロジーとして「モバイル」「ソーシャル」「クラウド」「インフォメーション(ビッグデータ)」の4つが重要だと考えている。いずれも従来型のITとは大きく異なる概念だ。

 従来型のITなら、CIOやIT部門にとって、まず予算を取ることが重要な仕事だ。次に、その予算の範囲内で投資を実行すること、そこで活用するソリューションを把握することも重要になる。ソリューション実行の妨げになるリスクはなるべく排除した方が良い。

 一方で、新しいテクノロジーでは異なる発想が必要になる。予算は固定的なものではなく、ビジネス上の必要性に応じて生み出さなければならない。事前にソリューションの全体像を把握できるとは限らず、走りながら、学びながら解決していくことになる。リスクを排除するより、必要な時はリスクを取ったほうがイノベーションにつながることがある。

 例えば「モバイル」で「必要最小限のコストで、リスクを抑えつつ、ムダのないシステムを作る」という従来の発想で物事を進めるならば、モバイル端末の数は少なくした方がいいだろう。モバイル端末でできることもなるべく制限した方がいい。しかし、これではモバイル端末を導入する意味がないし、異なる発想でモバイル端末を活用してくる競合に負けてしまうことになる。