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 3番目の取り組みとしては、大企業の変革があります。2012年はシャープが苦境に陥り、パナソニックやソニーなど大手電機メーカーが軒並み膨大な赤字を計上しました。何年も前から警告されてきたことですが、迫り来る危険に対して、大企業の経営者は痛みを伴う大きな方向転換とその舵取りをすることができませんでした。

 ほとんどの日本人はのほほんとしていますが、日本史上最大級の危機だと考えています。元寇の来襲、ベリーの黒船来航、第二次大戦勃発・敗戦、オイルショックなど、危機そのものはその時々でもっと深刻なものがあったとは思いますが、今との違いは、危機感を持って対応しているかどうかです。残念ながら、私の知る限り、またインサイダーから伝わってくる限り、大企業の経営者の危機感(行動に表れた危機感)は非常に低いです。ということは、まだ底ではなく、膿が出尽くしておらず、舵を切れていないので、もっともっと悪くなります。

 この部分は、私がマッキンゼーに在籍以来、LGグループに対して10年、日本の大手消費財メーカーに対して4年、徹底的に支援し、経営改革を加速してきた部分ですので、どこをどうすればどう動くのか熟知しています。この2つの企業の経営者は、本当に立派な方々でした。大企業の経営改革は、トップがその気になりさえすれば今すぐにでも始められます。ただ、最低でも3年、普通は5~7年かかることですので、一刻も早く腹をくくっていただけないかなと思っています。

 また、大企業によっては大規模なリストラを始めていますが、身を削るだけではダイナミックな事業環境下での大きな成長は望めません。自前主義をさっさと捨てて、有望ベンチャー企業に積極的に投資したり、買収後に最速で統合メリットを出すための方法論を提案したいと思います。鍵は、問題把握・解決力を持った少人数の経営改革・経営統合支援チームの設置と人材育成です。打てば響く、電光石火の経営意思決定は言うまでもありません。

 日本ではそれは難しいと寝言を言っておられる方もいらっしゃるようですが、そんなことはありません。明確な方法論を確立しています。これらができれば、半分沈みかかった大企業でも、考え得る限り最速で経営改革を進め、新しい成長事業を手に入れることができます。

 この場合、経営層の意識改革が極めて重要で、「おみこし経営」などは論外です。社長の問題意識、感度が鈍い場合、社長を支える副社長・執行役員や中間管理職には、社長を動かす努力をしてもらいたいです。経営改革を推進しようとする幹部を飛ばそう、外そうとする社長がいる大企業は退場していただくのが一番社会に貢献します。なぜなら、拘束・束縛されていた、もと優秀だった多くの社員が甘えを捨てて、自力で泳ぎ始めるからです。

 山一証券が経営破たんした後、多くの優れた金融ベンチャーが生まれました。韓国では、サムスンなどの財閥から数千人規模のエンジニアが辞めた後、韓国企業・ベンチャーは非常に元気になりました。そこまで行かない場合は、下手をすると“大企業ゾンビ”が生まれます。ますます悪化します。そうなる前に社長、あるいは経営幹部、あるいは社員が立ち上がり、本質的な課題解決に取り組めるかどうかです。

 2013年には、これまで説明した取り組みを通じて女性の起業家を何名かご支援し、インドネシア・シンガポールでも数社以上の有望な企業に出資したり、買収したりすることを目指しています。大企業については、経営改革のお手本となる会社の取り組みをお手伝いできればと考えています。

今後、注目される分野はありますか。

 今後有望な分野としては、現在力を入れているスマートフォン向けアプリに加えて、リアルとネットビジネスをつなぐ「O2O」(オンライン・ツー・オフライン)、ソーシャルテレビ、興味を基に人間関係を築く「インタレストグラフ」などがあります。スマートフォンやタブレット、テレビといった端末を使うユーザーが、インタレストグラフでつながり、そのインタレストグラフを生かしたサービスは、超高速仮説構築検証型商品開発を使って生み出されるという関係です。

 現在、日本には起業時に出資してくれるインキュベータが多数あります。特にブレークスルーキャンプ by IMJ は日本最大のウェブ開発会社であるIMJのリソースもフル活用し、起業家の立場でご支援しています。超高速仮説構築検証型 商品開発によって、多くの人に事業を成功させていただけたらと思います。