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写真1●さくらインターネットの石狩データセンター
写真1●さくらインターネットの石狩データセンター
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 北海道が、BCP(事業継続計画)の拠点として注目を集め始めている。北海道石狩市で「石狩データセンター(DC)」を運営するさくらインターネットは、自社のクラウドサービス提供用としていた同DCを、ホスティング向けに転用し始めた。同DCをバックアップ拠点として利用したいという企業ユーザーの需要が大きかったためだ。北海道電力子会社なども、札幌のDCを使ったBCPサービスへと動き出した。

 さくらインターネットが2011年11月に開業した石狩DC(写真1)は、体育館のような巨大な「DC棟」が最大8棟建てられるという巨大施設である。DC棟にはサーバーラックを500ラック設置可能で、既に2棟が完成している。現時点での延べ床面積は1万1392平方メートルで、3号棟、4号棟の建設も検討している。

クラウドを想定し、外気冷房などを導入

 さくらインターネットは当初、石狩DCをクラウドサービスの提供拠点として設計した。これまでの、サーバーラックを貸し出すホスティングや、ユーザー企業のサーバーを預かるコロケーションを提供するDC施設は、施設の仕様をユーザー企業の要望に合わせる必要があった。しかし、ユーザーに仮想マシンを貸し出すクラウドを提供するDCであれば、施設の仕様を事業者側が自由に決められる。

 このような背景からさくらインターネットは、石狩DCの設計に当たって、他のDCには見られない様々な工夫を取り入れた。その代表例が、外気冷房の全面的な導入である。石狩市は気候が冷涼で、エアコンを使わなくても、外気をサーバールーム内に流し込めばサーバーなどの冷却が可能になる。石狩DCの外壁には、写真2のような外気を取り込むための口がある。ここから取り込んだ外気は、外壁の中にあるフィルター(写真3)で虫やホコリを取り除いて、サーバールームに送り込む仕組みだ。

写真2●石狩DCの外壁に設けられた外気の取り入れ口
写真2●外壁にある外気取り入れ口
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写真3●取り入れた外気から虫やホコリを取り除くフィルター
写真3●外気を清浄化するフィルター
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 ところが、さくらインターネットが石狩DCを稼働し始めたところ、当初は想定していなかった需要があることが分かった。石狩DCをディザスタリカバリー(災害対策)のためのバックアップ拠点として利用したいという企業ユーザーの需要である。さくらインターネットが石狩DCの設計をしたのは、2010年のことである。その後に発生した東日本大震災の影響で、首都圏から離れた北海道をバックアップ拠点にしたいと考える企業ユーザーが増えた。

日商エレクトロニクスも企業向けDCサービス

 幸いなことに石狩DCは、サーバーラックが500ラック格納できるDC棟を、100ラックごとに分割し、それぞれの区画を独立して運用できる設計にしていた。そこでいくつかの区画を、ホスティング用途に転用。首都圏のユーザーに貸し出し始めた。またさくらインターネットと同じ双日グループに属する日商エレクトロニクスも、さくらの石狩DC内の区画を占有して、企業ユーザー向けに日商エレクトロニクスの「石狩データセンター」として、2012年8月から貸し出しなどを始めている。

 さくらインターネット以外のDC事業者も、北海道のDCを活用したBCPサービスの提供に乗り出している。北海道電力子会社のほくでん情報テクノロジーは、札幌市で運営する「H-IXデータセンター」をBCP拠点として提供する。H-IX DCは、同社が北洋銀行から譲渡を受けた施設である。破綻した北海道拓殖銀行の業務を引き継いだ北洋銀行は、システムを拓銀のものに統合したため、それまで自社で運用していた施設が不要になった。その施設をほくでん情報テクノロジーが、2001年から外部に対する貸し出しなどに使用している。

 北海道岩見沢市も、公設民営DCの拡張を続け、大都市圏のDC需要を引き寄せようとしている。公設民営DCとは、地方自治体などがDC施設を建設し、民間企業がその施設を運用して外部にサービスを提供するというDCである。岩見沢市の場合は、はまなすインフォメーションという会社がサービスの提供主体である。

 岩見沢市は2008年に建設した「HIcomデータセンター」からサービスを提供しているが、現在はさらに、コンテナ型DCの実証実験を行う計画を進めている。コンテナ型DCは岩見沢市内に3台設置し、企業ユーザーが利用する上で十分なスペックを有しているかどうかを検証する。コンテナ型DCも公設民営DCとして、外部に貸し出す計画だ。