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 多拠点、多言語、多国籍のグローバルプロジェクトでは、国内プロジェクト以上にコミュニケーションに時間がかかり、早め早めの意思決定が求められる。日本では聞き慣れぬ横文字も頻繁に登場する。「あうんの呼吸」に慣れたプロジェクトマネジャーがトップダウンで指示を出すと、情報の少ない海外拠点にいるステークホルダーは迷子になり、後工程で火が噴くことも少なくない。今回は、そのようなグローバル環境下でのPMO(グローバルPMO)が持つべきマインドセットを考えてみる。

今仁 武臣
マネジメントソリューションズ PMP


 グローバルプロジェクトとは一般的にどのようなものを指すでしょうか。例えば、ワールドワイドの営業拠点への新事業展開、海外サプライヤーとのシステム連携、オフショア開発プロジェクト、海外企業の買収に伴う業務統合などが挙げられるでしょう。

 それらのグローバルプロジェクトに携わった筆者の経験では、PMOが最初に気にすべき視点は2つあると思います。1つは複雑性(Complexity)、もう一つは変動性(Volatility)です。グローバルプロジェクトの複雑性としては、拠点、言語、時差、文化、組織など多くの要素が関連します。また、日本だけではなく、海外拠点のビジネス環境の変化により、プロジェクトのスコープやステークホルダーの期待が頻繁に変化する場合(変動性)があります。

 複雑性と変動性の双方が高い場合、プロジェクトのリスクレベルはかなり高まり、PMOの活動の軸も多岐にわたります。また、英語を標準言語としたコミュニケーション品質も、より高いレベルが求められます。

 以下では、ワールドワイドの営業拠点に対する新事業展開において、日本をベースとするPMO(グローバルPMO)が新業務のカットオーバー時期を欧州、米国、アジア、中東など複数地域のプロジェクトリーダーに伝え、課題・ToDoを推進する場面を想定しながら、グローバルPMOのコミュニケーション上の注意点を考えてみましょう。

グローバルプロジェクトでは「自己主張」「丁重」が肝

You are talking about a final decision as a project management?(あなたの言っていることはプロジェクトとしての最終見解か?)」

 海外拠点展開プロジェクトの定例テレビ会議で、ビジネス側のリーダーにこう尋ねられたことがあります。国内プロジェクトでは、「いったん持ち帰ります」とか「私の権限では…」と結論を先延ばしすることがあるかもしれません。しかし、グローバルプロジェクトでは、Project Managementと名の付くPMOがそのような会話を連発すると、海外のステークホルダーの信頼を失ってしまう場合があります。「Complexity」や「Volatility」が高い中、PMOのからの情報や伝達事項が本物か、信頼性(Credibility)を確かめている場合もあるのです。

 その場合、2つの方法があります。1つはアジェンダや想定問答をしっかり準備しておき、プロジェクトマネジャーや関係者と話す内容を綿密に確認し、正式にはっきり伝えることです。国境を超えた相手の立場に立ち、論理的に矛盾のない伝達をする必要があります。

 2つめの方法は、「XXではそうだが、YYについては至急確認する」など議事録に記録し、さらにはToDoとして追跡して、早めに正式な回答をすることです。グローバルプロジェクトでは、1つのミスが各国に伝搬し、修正するには時間とコストがかかります。責任の持てない回答をPMOはすべきではありません。

 どちらの場合でも、筆者は2つのことに気を付けています。まず、自己主張(assertive)をしっかりすること。主張すべきことは具体的な理由とともに主張し、意見が対立した場合はきちんと議論する。