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 エフエム東京は、2013年1月18日にマルチメディア放送ビジネスフォーラム活動再開準備説明会を開催した。この日、NTTデータが「多様な放送・通信手段を活用した災害情報伝達の取組について」と題して、基調講演を行った。今回は、この講演内容についてレポートする。

 NTTデータは、NTTドコモやマスプロ電工、東北大学、日東紡音響エンジニアリングと共同で、総務省が委託する「多様な通信・放送手段を連携させた多層的な災害情報伝達システムの研究開発」のフィールド実証実験を2012年11月より、仙台市や気仙沼市などで実施した。この実証実験では、東日本大震災で浮き彫りとなった住民への災害情報伝達の課題を解決するため、緊急速報メールやワンセグなどの多様な通信・放送手段を連携し、住民へ確実かつ迅速に災害情報を伝える仕組みの検証を進めている。

 この研究開発では、NTTデータはマルチメディアプラットフォームに関する研究開発を担当し、多メディアを統括するプラットフォーム、V-Lowマルチメディア放送システム、公共ブロードバンドネットワークの研開発を行った。なお、NTTドコモは、自社とKDDI、ソフトバンクモバイルの緊急速報メールを一括して配信する災害情報伝達システムの研究開発、マスプロ電工は、石巻地区での地上デジタル放送とワンセグでの防災情報を提供するシステムの研開発、東北大学電気通信研究所と日東紡音響エンジニアリングの2社は、防災行政無線の拡声器に関する研究開発を担当した。

 実証実験の背景について、NTTデータは「2011年3月11日に発生した東日本大震災により、防災行政無線をはじめとする地域の災害情報を伝達するシステムが、地震そのものによる被害に加えて津波による浸水や流出などにより、設備などの機能停止や倒壊など多大な被害が生じ、災害情報が住民に確実に伝わらなかったという課題が浮き彫りとなった。そこで、IT事業者として役に立てるのではないかと思い、研究開発を行うことにした」(リージョナルビジネス事業本部e-コミュニティ事業部課長の長田洋一氏)と説明した。

東日本大震災時の通信・放送の状況

 東日本大震災では、2012年12月16日の警察庁発表データによると、人的被害が死者・行方不明者合せて約18万人、建物被害が全壊・半壊合せて約40万戸もあった。また建物の被害だけではなく、大規模な停電や通信設備もかなりの被害を受けており、防災行政無線についても、拡声器が付いている電柱が津波の被害を受けて使えない状況になるなど、様々なケースで使えなかったというケースも多々あった。

写真1●東日本大震災時の通信と放送の状況
写真1●東日本大震災時の通信と放送の状況
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 このような状況の中、住民はどのようにして情報を得ていたのだろうか。仙台市が市民に取ったアンケートの結果を見ると、多くの人がラジオ(57.6%)やワンセグ(20.8%)やテレビ(15.4%)から情報を得ている。防災行政無線については、宮城県については整備が終わっているが、防災行政無線から情報を得た人は2.1%しかいなかった。その一方で、携帯電話やメール、Twitterなどのソーシャルメディアが防災情報伝達に大きく貢献した。

 なお、防災行政無線に関してはデジタル化が進められている。しかし、防災行政無線の設置費用に多額な予算が必要であることなどから、全国の防災行政無線の整備状況も92%で、その内デジタル化が完了しているのが30.3%と、デジタル化が遅れている状況だ。